第17話 今どきこんなことする?……するか
「陸〜。悪い、待たせた」
晴音と少し気まずい感じの雰囲気になったあと、俺たちは集合場所である近くのショッピングモールに来ていた。
あいつと会ってしまった場所なので、晴音が嫌がるかもしれないと思ったが、「行きたい」と言っていたので、ここに決めた。
「おっ、蒼、来たか。大丈夫だ、そんなに待ってないし、結菜はまだ来てないからな」
「そうなのか……え?まだ来てない?」
実際のところ、陸は5分以上は待ってくれているはずだ。
俺と晴音が10時の集合時間から5分遅れた10時5分に着いたのだから。
それよりも遅いのか
「……白雪さんって、以外と時間にルーズだったりするのか?」
「いいや、あいつは絶対に集合時間に遅れたりしないな。ましてや、誰かを待たせるなんてことはありえない。……同じ学校のやつらには特にそういった姿は見せないやつだ」
「……それなのにいないって言うのは、彼氏からしたら心配なことなんじゃ…」
しかし、俺の心配は次の瞬間消えた。
「わ!!」
「っ!!!!」
「……」
そう、どこにかは分からないが隠れていた白雪さんが後ろから驚かしてきたのだ。
それに対して驚いて腰を抜かして口をパクパクしている義妹が1人と、してやったりとでも思っていそうなドヤ顔の女の子が1人。
彼女の行動が可愛いとでも思っているのか「うんうん」と頷いている男が1人、そして、真顔になった俺。
平日の10時。働いている皆様はほとんど会社に既に着いている頃なのだろう。ショッピングモールの周りにはあまり人はいない。
そんな中で起こったこのよく分からない事件という程でも無いイタズラ。
それを真顔で見ていた俺は──
(あっ、あそこの店無くなるのか。割とショックだな)
目の前のことから目を背けていた。
……仕方がないだろ?
多分、俺だけじゃなくてやられた晴音も、見ていた陸も、なんならやった側の白雪さんもこの状況の意味がわかっていない。
そんな中で、俺だけ現実を見ろなんて、かなり酷いと思わないか?
そして、この訳の分からない状況がなんと驚き、5分以上続いた。
その間、この4人は誰一人として動くことがなかった。
たまに通り過ぎていく人たちは「何だこの人たち」という視線を浴びせてそのままスルーしていった。
そして最初に動きだしたのは──
「……あの、いつまで続けるつもりですか?」
「やった本人がそれを言うのはどうかと思うけどね」
晴音を驚かせた犯人である白雪さんだった。
「いや〜、どうせなら遅れた奴らは驚かせたいと思ってな。結菜に頼んだんだ。俺がやってもインパクトみたいなものがないだろ?」
「いや、陸がやった方が晴音は驚くと思うぞ?」
「そうか?」
……ただまあ、白雪さんの小さな子供のような驚かし方でもこれだけ驚いてしまっているのだ。
陸がやっていたらどうなっていたことか。
(……気絶とかしてたかもしれないな)
今後とも、驚かす際は是非とも白雪さんにお願いしたいものだ。
……まあ、やらないに越したことはないが。
そんな事よりも、だ。
「……晴音。いつまで尻もちついてるんだ?早く行かないとせっかくの機会がおじゃんになるぞ?」
「……お兄ちゃん。私、白雪さんのこと苦手」
「……ああ、そう」
「え!?待って晴音ちゃん!誤解だから!誤解じゃないけど誤解だから!」
「結菜も晴音ちゃんも一旦落ち着け」
「主犯が何を言ってるんだ……」
「……」
ひとまずこの空気をどうにかしないといけないので、俺たちはショッピングモールに向かうことにした。
義妹が「彼氏できた」と言って連れてきたのが俺のクラスのクズだったので意地でも別れさせようと思います。 夜桜 @yozakularain
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