第14話 まさかの不士稔公

高島たちは月の都の道路を歩いていると…。

「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」

誰かの悲鳴が聞こえた。

「な、なんだ⁉︎今の声!」

「もしかして、この街に何かあったのかも⁉︎サイレン鳴ってたし」

すると、またサイレンが大音量で鳴り響いた。

悲鳴が聞こえた方へ行くと、不士稔の摩天楼にいた眼球や口の怪物たちが、人を襲っていた。

「な、なんで⁉︎」

「あいつらは不士稔の手下じゃなかったのか⁉︎」

皆んながあたふたしてる中、栩義がこう呟いた。

「あれ?不士稔は?何で先に行っててって言ってたの?」

その瞬間、高島たちはゾッとした。

「確かに………もしかして………」

有島は怪物たちの間を通って奥の方へ行った。

そこには………。









不士稔と怪物たち、さらには大勢の人々がいた。

「ファ⁉︎不士稔⁉︎」

有島は高島たちを呼ぶと、不士稔たちに駆け寄った。

「あ、君たちがあいつの言ってた奴らか」

不士稔は有島たちに気づくと、握手をしようとした。しかし、栩義と鑰匙間は拒否して、こう言った。

「おい、これは一体なんなんだ?月の都の人々を襲っているが」

「君が鑰匙間かぁ。よろしくね」

「人の話を聞け!」

「あと君の後ろにいる大勢の人たちはなんなの」

「栩義が君か。よろしくね」

「だめだこいつ、話が通じねぇ」

「様子がおかしい………」

栩義が疑問に思うと、不士稔の後ろの人混みの中からなんと不士稔が出てきた。

「え………………………………………」

あまりの衝撃に、皆んな絶句し、開いた口を閉じないまま、ただただ2人を見ていた。

「転送装置たくさん持ってきましたよ。ここら辺に設置しときますか?」

「ビルの上や地下鉄の入り口にも設置しといて。この街全体に出来るだけバレない位置に設置しといて」

「わかりました」

そう言うと、人混みの中から出てきた不士稔は、指から液体を出すと、それが人型になって、不士稔そっくりの人に変身した。

「これをバレなさそうな位置に設置しとけ」

「了解です!!!!!!」

液体から変身した不士稔は、転送装置を持って、走っていった。

「あのう、すいません、状況が理解できないんですけど、何で不士稔が3人もいるんですか?」

高島か恐る恐る言った。すると人混みの前にいる不士稔がこう言った。

「ああ、僕は指から出すことができる液体で自分と同じ肉体を作ることができるんだ。簡単に言えば分身だよ。そして、本体はこの僕だ」

「マジ?じゃああの摩天楼にいた不士稔は、分身なの⁉︎」

「そうだよ。栩義、君僕が機械を操作しているところ見てたんでしょ?あれ僕だよ」

「そうだったのか……」

皆んな下を向いて状況を整理している。

「ところで、何で月の都を襲撃してるの?」

高島か聞いた。

「え?これは復讐なんだよ」

「復讐?」

「そうそう。この月の都に宿敵がいるんだ。皆の人生をぶち壊した憎むべき相手が、あの城にいる」

そう言って不士稔は、丘の上にある和風の城を指差した。

「あの城?」

高島たちは憎むべき相手が誰なのか聞いたが、不士稔は、「後でわかる。多分皆んな知ってるよ」とだけ言って、大勢の人たちに向かってこう言った。

「敵は望月城もちづきじょうにあり」


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