第6話 騒々しい
廊下を歩いているとうめき声が聞こえた。
「な、なんだ!動物の声⁉︎」
「まさかこんなところにいるわけない」
目の前にドアがあったので開けてみると、広い風通りのいい部屋があった。真ん中に誰か倒れている。
「あ、誰か倒れてる!助けないと!」
「ちょっと待って、何かいる」
奥の暗闇からうめき声が聞こえる。
「も、猛獣か?ならば
有島が魔法弾を撃つ構えをしていると、声の主と思われる者の足音が聞こえてきた。
「来るぞ!」
姿を現したのは、カマキリのような体で、頭が唇の怪物だった。
「…え、キモッ」
有島も流石にこれには引いたようだ。しかし、今度は栩義がおかしかった。
「え、かっこよ」
「ファ⁉︎」
この怪物がかっこよく感じるらしい。
「トチ、ギクン?ドウシチャッタノカナ?」
「か、かっけぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ」
「絶対こっちの方がおかしいって。と、とにかく魔法弾だ!喰らえ!」
「やめろぉぉぉぉぉぉ」
栩義が魔法弾にぶつかった。
「痛えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ」
「何をする!」
「こんなかっこいい奴に傷なんて似合わない!絶対に守る!」
「もうわけわかんない」
しかし怪物はそんなことお構いなく、栩義に噛みついた。
「痛えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ(2回目)」
「大丈夫か!」
「ご、ご褒美ありがとうございました!」
この言葉に怪物も流石に引き気味だ。
怪物は口から毒の液を吹いた。栩義はもちろん避けずに、むしろ当たりに行く。
「ギュワ⁉︎ギュギュギュワンギュワギュンワ!(何⁉︎この毒は猛毒なのに、なんで大丈夫なんだよ!)」
もはや怪物は気味悪いを通り越して、怒りを覚えてしまった。
「なんなんだこの小説。グダグダすぎるだろ……」
有島は呆れてしまった。しかし、彼も先程栩義と同じようなことになっていたのは、言わないでおこう。
怪物は大口を開けて吸い込み始めた。
「ひゃあああああ、吸い込まれるゥゥゥゥゥゥゥゥ」
「そうだ!魔法弾!」
魔法弾が怪物の口の中に入った。
「ギュウェェェェ、ギィィィ、ギャワン!(痛えぇぇぇぇ、きぃぃぃ、畜生!)」
顔を上げてみると、2人はいなかった。
「ギュワルワン……(どこ行った……)」
怪物は部屋中を探した。2人は大きなダンボールの中に隠れていた。
「大丈夫かな?」
「し!静かに!」
トゥルルルルルルルルルルルルルルル
こんな時に有島に電話がかかってきた。
「こんな時に誰だよ」
相手は鱗山だった。2人は絶望した。
「こんにちは、有島くん?今家にいます、ゲームしてみませんか?新しいアクションゲームが出たばかりです。購入しましたが、2人でできるようです。あなたもこれをやりたいですか?」
予想以上に普通の喋り方だった。
「おい断れ。今そんな事してる暇ないって」
「ひぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!そ、それってもしかして[勇者ウナギ]の最新作?行く行く〜」
「おいそんな大声で言うな!それにことわr…って、この目覚まし時計、高級目覚まし時計じゃねえかぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!ァァァァァァァァ!!!!!!」
「うるさぁぁぁぁぁい!てかなんでそんなもんで興奮するんだよ!」
「お前だってウナギで興奮してんだろ!」
「ウナギは美味しいだろってか、そっちのウナギじゃねえぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!」
「杉吉(栩義)さんもいますか?それでは3人でやってみましょう。ねえ、なぜあなたたちはそんなに騒々しいのですか?大したことになるのでしょうか?おい。私を無視してもらえますか?若干!じゃあこれも音するよね?」
こんな大声出すからすぐに怪物に見つかった。
「ギュ、ギュルゼェェェ、ギャァギィダァァ。ギャラエラ(う、うるせえ、ああいた。お前ら)」
完全に自業自得。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます