第5話 眼球の怪物
20分ほど経ったが、鑰匙間は帰ってこない。
「絶対おかしい!」
「どうなっちゃったんだろう」
栩義がこんなことを言った。
「……入ってみる?」
「⁉︎」
「うん、高島や鑰匙間が心配だし」
「うーん…」
「あと気になるし」
「何が?」
「精密機械…」
「ファ⁉︎」
急に意味不明なことを言い出したので、有島は混乱した。
「ちょ、機械オタクにもほどがあるって」
「オタクじゃない!マニアだ!」
「どっちも同じようなもんでしょ」
「マニア舐めんじゃねぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ」
「ついにキレた」
「あーもう入るぞ!高島と鑰匙間を探さなきゃ」
「わかったわかった」
2人はビルの中へ入っていった。
「いやぁ、どんな機械があるか楽しみだ」
「隣の人目的違うんですけど…」
ビルの中は薄暗く、色々とものが散らかっている。
「ひゃあ、廃墟って感じd「廃墟ぉぉぉぉぉぉだぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!」」
栩義がしゃべっている時に有島が突然叫んだ。
「ちょ、今喋ってるとちゅu「わぁ、このボロッボロな雰囲気、いいねぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ」」
有島は建築オタクらしく、特にこういう廃墟とかが好きらしい。
「あの、しゃべっていいでs「ああ、ここ少しヒビ入ってる。いいね!」あ、だめみたいですね」
「ぎゃああああああああああ!!!!!!この机、ボロボロで、かっこいいぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!!!!」
「めちゃくちゃテンション上がってるじゃん。って、このパソコンめちゃくちゃハイスペックなやつじゃねぇかァァァァァァァァァ!!!!!!」
「人のこと言えねぇなぁって、ああああああああああああああ、エレベーター壊れてるゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!!!!!!!!!!!!」
「うるさすぎるって、これはぁぁぁぁぁぁぁ、世界一カッコいいと言われてるやつゥゥゥゥゥゥゥゥ」
どっちもうるさすぎて、奥の方から[キリキリ]と、物音がしたことに気づかなかった。
「っていうか、エレベーターや階段多くね?」
「まあ結構高いビルだもんな」
また[キリキリ]と音が鳴ったが、2人とも全く気づかない。
その音がだんだん近づいてきているのにも関わらず。
「…なんか聞こえない?」
「なんて?」
「キリキリって」
「きーらーきーらーひーかーるーおーそーらーのーほーしーよー」
「なんだそのキリキリか。ってかキラキラだな。それ」
かなり上へ上がった気がするが、まだ高島や鑰匙間はいない。
「……まだか」
2人とも疲れたので、椅子に座った。
「…っていうか、なんでこんなところにこんなビルがあったんだろう」
「知らない。最近できたんじゃない?」
「いや、工事してなかったし」
「そうか」
ボーッと前を向いて座っていると、何か階段を登ってくる音がした。
「なんだ?従業員か?」
「流石にそんなわけ………って言ったら従業員だったりして」
誰が登ってきているか覗いてみると………。
「⁉︎」
なんとそこには蜘蛛のような足が生えた眼球がいた。
「……かわi「早く逃げるぞ逃げるぞ逃げるぞ逃げるぞ逃げるぞ逃げるぞ逃げるぞ逃げるぞ逃げるぞ逃げるぞ逃げるぞ」」
有島には可愛く見えたらしいが、普通の人ならすぐに逃げだすだろう。つまり有島は普通の人ではない。
「ちょ、鑰匙間みたいになってるよ。ってか可愛くない?あのめだm「うるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさい」」
普通の人の感性を持っていた栩義は有島を引きずりながら全速力で走った。
しかしなんと目の前にはさっきの眼球がいた。
「しゅ、瞬間移動⁉︎」
「違うみたいだよ。後ろを見てみな」
栩義が後ろを見てみると、そこにも眼球がいた。
「に、2匹⁉︎」
と言った途端、奥の方からゾロゾロと眼球たちが出てきた。
「うーわグロい…」
「きゃ、きゃわいい……」
その時、眼球たちが2人に飛びかかってきた。
「や、ヤバい!こうなったら…」
栩義はポケットから小さな球を出すと、その球を奥の方へ投げた。
すると眼球たちは球を追いかけて行ってしまった。
「あ、目玉ちゃーん!行かないでぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ」
「ふう、分身を持ってきて良かった」
「…ねえまだ高島と鑰匙間いないの?」
「気持ちの切り替え早いな。まだ上の階があるみたいだし、早く急ごう」
「あーもうめんど」
有島はだんだん飽きてきた。
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