第10話 不死薬・蓬莱
栩義は金庫の中を覗いてみると、中には[不死薬・蓬莱]と書いてある瓶が2つ入っていた。そばに紙があり、1つは[蓬莱雨用]と書いてあり、もう1つは[直接飲用]と書いてある。
「てかこれ、さっきのビニール袋の中に入ってたメモに書いてあった漢字じゃないか。ほんとなんで読むんだろう?」
栩義が疑問に思っていると、奥の方が明るいことに気づいた。近寄ってみると、天井に穴が空いていた。
その真下に機械のようなものが置いてあった。
「なんだこれ」
機械にはボタンが大量に並んでおり、真ん中には何かを入れるようなスペースがあった。その上にはモニターがあった。試しにボタンを押してみると、モニター画面に文字が表示された。機械の上には煙突のように伸びる管があった。
「
「はぁ、あの瓶は蓬莱というものが入っているのか。それじゃ不死薬とはなんだ?」
機械の後ろにはまた開けっぱなしの金庫があった。中には[貴重品!不士稔以外触るな!
不死薬・蓬莱 実物]と書いてある瓶が入っていた。
「実物?それじゃあ
真剣に考えていると、誰かが来た。栩義は物陰に隠れた。よく見てみると、少年だった。
「(誰だろうか?このビルの主か?いやいや、こんな廃墟にしかも子供?考えにくいなぁ)」
様子を見ていると、少年は金庫から不死薬・蓬莱が入っていると思われる瓶を出した。
「また開けっぱなし。いい加減この癖を治さないとな」
そう言いながら瓶を機械の中に入れると、栩義が押したボタンと同じボタンを押した。すると!機械は動き出し、煙突のような管のガラス張りの部分から液体のようなものが登っていくのが見えた。
「あの管はそのためのものか。それじゃあ何故上へ登っていくんだ?」
数分が経過して、少年は機械から瓶を取り出すと、また金庫に入れて、部屋を出た。結局開けっぱなしだった。栩義は物陰から隠れた。
「なんだったんだ……。とにかくこの薬は後で調べてみよう。何かわかるかも」
そう言うと、慎重に金庫から取り出して、小さなペットボトルに少し注いだ。
「これぐらいならバレないよな?」
名前ペンで蓬莱と書くと、ポケットへしまった。
一方こちらは高島と不士稔と鑰匙間がいる部屋。3人とも勇者ウナギのソフトで遊んでいた。
「結構面白いんだな」
鑰匙間はここ数時間でかなりハマったらしく、目を輝かせて遊んでいた。
そしてこちらは有島のいるエレベーター前。眼球の怪物と遊んでいた。
「やっぱこいつらきゃわいいなぁ」
奥の方から栩義が歩いてきた。
「なんだまだここにいたのか。しかもそいつらと遊んでるし……。まともに働いてないやつお前だけだぞ。多分」
「別にいいじゃないか。それよりその瓶はなんなの?」
「これは不死薬・蓬莱というものらしい」
「や、薬局・ほうれん草?」
「流石に無理あるだろ(笑)」
栩義は苦笑いした。
「ところで鑰匙間はどっちの方向へ向かっていったの?」
「向こう」
有島は指を差した。
「よし、行くぞ」
「え?なんでよ。向こうから来るだろ」
「この蓬莱というものが何かの鍵になる気がするんだよ。それにこのビルの主と思われる少年を発見した」
「え⁉︎マジで⁉︎早くこの廃墟にどんなこだわりがあるのか聞こう!」
「あのなぁ…………」
栩義は呆れつつも、有島を起こして先へ進んだ。
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