第9話 摩天楼の闇

鑰匙間が廊下を走っていると、また広いところに出た。誰かいる。

「誰だ?おそらく敵だろう。ここで様子を見てみよう」

どうやら2人いて、テレビで何かしているらしい。

「…今がチャンス!」

そう言って背後に忍び寄り、そばに落ちていた瓦礫がれきの影に隠れた。

2人はゲームで遊んでいるらしい。

鑰匙間は物音を立てないよう、慎重に2人は近寄った。

「……今だ!」

鑰匙間は2人に飛びかかった。しかし、ぶつかる前に2人のうち1人に気づかれた。

「…誰?」

「…や、鑰匙間⁉︎」

「た、高島⁉︎」

「この人は君の友達?」

「そうだよ。鑰匙間きらとって名前なんだ」

鑰匙間は高島の隣の少年に尋ねた。

「君が高島を誘拐した誘拐犯か?もしかして最近人が消えている事件の犯人もお前か?」

鑰匙間は半ギレ状態だった。少年は言った。

「いかにも、僕が誘拐犯であり、最近の事件の犯人でもある、不士稔公だ。よろしく。よくここまで辿り着いたな。眼球と口が警備していたのにも関わらず」

「まあ、あんまり活躍してないけどな。なんとか突破したぜ」

「…ということは、あと何人か仲間も一緒に来たわけだな」

「…鋭いな」

鑰匙間は少し驚いた。

「…とにかく、なぜ人を攫うのだ?」

「君には関係ない。あ、そうだ、あと最近雨がよく降るだろ?それも僕が原因だから」

「もしかして、天気を操れるのか?」

「違う違う、あの雨は普通の雨じゃないんだよ」

「あのう、すみません。話についていけない」

「とにかく!高島!とっとと帰るぞ!」

「え、待ってよ。今不士稔と遊んでいるんだから」

そう言って、テレビの方を見た。勇者ウナギのソフトが置いてあった。鑰匙間は呆れた。

「こんな緊急事態時に………、お前ほんと気楽だな。あとどんくらいで終わるんだよ」

「えっとねぇ、今までのと同じくらいのボリュームなら…あと5時間くらいはかかるな」

鑰匙間は脱力した。

「はぁ、まだまだ先は長い……ならお前の姉ちゃん呼ぶぞ?」

清香さやかか?あいつ今頃多分寝てるよ」

「ぇぇぇ…(困惑)」

結局、鑰匙間は5時間待つことにした。











その頃栩義は、薄暗い部屋にいた。テーブルやイス、カウンターがある。

「なんだこの部屋、めちゃくちゃ散らかってるな」

テーブルに何か入ったビニール袋が置いてあり、貼り付けてあった紙に[不士稔以外接触禁止!]と書いてあった。

「……なんて読むの?不士ふしはわかるけど、最後の漢字はなんだ?」

掟を破り、ビニール袋を開けて中身を出すと、メモのようなものが入っていた。

「ん?なんだこれ?なんかの作り方みたいだな。名前がこれだろうけど、なんて読むのかわからん!」

一気に難しすぎる漢字が出てきて、困惑していた栩義。

「とにかくこの部屋も探してみるか。奥にも部屋があるみたい」

栩義は奥の部屋に入った。調理場だったようだ。しかし、怪しげな薬品や紙が並んでいた。そして、奥の方に開けっぱなしの金庫があった。

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