第19話 無い!!!!!!

かぐや姫の後ろに巨大な竜が出てきた。

「な、なんだあれ………」

竜の頸についている珠から雷が出てきた。

「おっと!」

不士稔は回転しながら避け、周りに液体を撒き散らしながら飛んだ。

「当たってないよ〜。命中率悪いな」

今度は珠から突風が出て、不士稔を吹き飛ばした。不士稔は足の裏から液体を発射し、すぐに距離を詰める。

「高島!有島!2人とも戦え!!!!!!」

「え⁉︎僕らも⁉︎」

かぐや姫は2人の方を見ると、ココアシガレットを齧りながら、扇子を振るう。


つばめ子安貝こやすがい


貝を持った燕が5羽出現した。

「な、なんだ⁉︎」

燕は貝を床に落とすと、その貝の中から大量のヒナが出てきた。

「うわぁ!なんか出てきた!」

ヒナは2人を突きまくる。

「な、なんでヒナなのに空飛べるの⁉︎」

「痛い痛い痛い」


『波動アッパー』


高島はヒナに向かってアッパーをした。喰らったほとんどは消滅したが、燕が貝を生み出し続けるので、キリがない。

「あいつを倒さなきゃ負ける!高島!挟み討ちだ!」

有島は魔法弾を大量に発射して、燕を追い詰める。しかし、ヒナはそんなことお構いなく突きまくるので、燕をうまく挟み討ちできない。

「……今だ!」


『百烈パンチ』


燕に向かって連続でパンチした。

「ぎゅぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!」

「おお、なんかすごい声なんだなこの燕」

「あ、今の高島じゃないんだ」

「は?………」



かぐや姫と不士稔はお互い睨み合っている。

「いい加減、諦めたらどうだ?こっちは3人いるんだぞ」

「私だって、火鼠と竜がいるよ?」

「うぬぐぐ………どうしようか」

かぐや姫は余裕そうにココアシガレットの箱を開けて中身を取り出そうとした……。

「そうだよ。諦めるのはそっちだよ……………………あれ?……無い……無い……え……え⁉︎……無い無い…無い無い無い無い…無い!!!!!!」

「ん?どうした?」

「ココアシガレットが!!!!!!無い!!!!!!…………集合!!!!!!」

また部下が現れた。

「ココアシガレットちょうだい!」

「もう在庫切れです」

「え……………………」

かぐや姫は床に膝をついた。その瞬間、火鼠や竜が消えた。

「よし!今がチャンス!!!!!!」

不士稔が叫んだ。


………『蛾眉』


不士稔たちの前に三日月が大量に出現した。しかし、さっきよりも密度が低い。

「(うまくすり抜けられそう)」

高島はそう思ったが、不士稔は三日月なんてお構いなしに突っ込んでいく。

「ちょ、危ないって!!!!!!」

案の定、不士稔は腕や足を斬られたが、すぐに再生し、かぐや姫と距離を詰める。

「集中できてないな。不安を感じているな。落ち着きがないな。手が震えている」

「ぐぅぅぅ、うるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさい」


『半月』


かぐや姫は連続で扇子を振り回す。


『絶命パンチ』


どちらも速すぎて目で追えない。

「す、すげぇ………レベルが違う………」

「ああもう焦ったい!!!!!!」

ついにかぐや姫が本気を出した。一瞬で部屋中を傷だらけにし、更には襖を全て破った。

「お、ついに本体出したか」

不士稔はぐるりと回転した。すると部屋中が液体でびしょ濡れになった。

「ねぇ高島」

「何?」

「これって絶命ショットっていうんだよね?」

「そうらしいけど」

「もしかしてこの液体に触れたら……」

「あ(察)」

「……避難しましょうか」

そんなことお構いなく、かぐや姫と不士稔は暴れている。

「あら、ついに怖気おじけづいたかな?」

「誰がお前なんか……お前なんか怖くねぇよ!!!!!!」

「かかってこいよ不士稔!!!!!!」


『望月』『十九夜』


『絶命ショショショットー』『絶命パンチ』


「ちょ、何してるんですか姫!!!!!!城がめちゃくちゃですよ」

部下たちの声ももう聞こえない。

「集中しろかぐや!!!!!!ココアシガレットがないとお前は無力なのかァァァァ?」

「ちっ……いつもなら大丈夫なのになんで今日に限って…」

「攻撃の密度が低い!!!!!!やる気あんのかぁぁぁぁぁぁぁぁ??????」

「ああもううるさいうるさいうるさい」

液体が高島に向かって飛んできたが、ギリギリで回避した。

「あ、危ねぇ……」

「もう逃げよう!」

有島は逃げた。が、繊月が飛んできた。

「危ない!」

有島は伏せたため、なんとか直撃は免れた。しかし、繊月が柱に当たって柱が倒れてきた。

「うわぁ!!!!!!」

有島に当たる直前!何故か柱は止まった。

「……あれ?」

有島は顔を上げてみると、巨大な機械の手があった。

「この手は……何凸守!!!!!!」

「やあ皆んな、久しぶり」

巨大な機械の手を持った何凸守が出てきた。

「お前失踪してたけど、月の都にいたのか…」

そして何凸守の隣には栩義と鑰匙間、更には近所のパン屋の店長黒輪さんがいた。奥には人々がいる。失踪していた人たちだ。不士稔に連れてこられたのだろう。

「黒輪さん!!!!!!」

「やあ皆んな久しぶり」

「2人とも街にいなかったわけは、月の都に連れていかれてたからなのか」

「僕が見つけたんだよ。もっと褒めて」

「すごいねすごいね。とにかく早く逃げるぞ!!!!!!」

「ちょっと待て、不士稔はどうする」

「あいつは戻ってこられるだろ。いいよいいよ、ほっといて」

「確か、月の都のはずれに転送装置があったはず…」

「いや、不士稔の分身が街中に転送装置を置いただろう」

「そっか…それじゃあ早く探そう!」

6人は転送装置を探し始めた。

「んでさ、因縁の敵は見つかったの?」

「今不士稔が戦っている相手だよ」

「マジか……」

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