第18話 かぐや姫

襖の奥には、不士稔が立っていた。

「ほら来た。不士稔……久しぶり」

ココアシガレットを吸って吐いた女性は、不士稔を見ると笑った。

「ぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ⁉︎」

「おっと、有島たちの部屋に行こうと思ったら、が目の前に現れたよ……」

「やっぱり…この人が因縁の敵だったんだ」

「何千年ぶりだろうか?かぐや姫……」

「え?」

2人は戸惑った。

「か、かぐや姫?」

高島は女性の方を見た。

「よく覚えていたね…私の名前を…」

「忘れもしない!お前は人々やみかどを裏切り、わけのわからん不老不死になる薬を置いていき、人々に恥もかかせた。それだけでは飽き足らず、失踪者や死亡者までも出した。それをお前は和歌を送った程度で、そのあと結局誰とも結婚せずに月に帰った!!!!!!お前は極悪非道な奴だ!!!!!!復讐するため、お前が置いていった不老不死の薬を服用し、不老不死となった!!!!!!お前の居場所を見つけるため、何千年も月を探索し続け、ついにここ、月の都を発見したのだ。そして、それと同時につい最近、お前が置いていった不老不死の薬[蓬莱]を作り上げたのだ!これを雨のように街に降らせて大量の不老不死軍団を作り、都を襲撃………そしてついに因縁の敵………なよ竹のかぐや姫に!!!!!!ここで!!!!!!出くわしたのだァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!!!!!!!!!!……ゼェハァゼェハァゼェハァ……」

めちゃくちゃ早口で言ったため、流石に疲れたらしい。有島が尋ねた。

「え………………………不士稔って不老不死だったの………?」

「ああそうさ!!!!!!なんか悪いか!!!!!!」

「いや何も悪くないです悪くないです悪くないです悪くないです」

「ああ、この時をどんなに待ち侘びていたか!!!!!!」

不士稔は手を差し出すと…。

「さあ、思う存分楽しませてもらうぞ…復讐という名の遊戯ゆうぎをなぁ!!!!!!」

「ふふ、付き合ってあげるよ」

かぐや姫は箱からまたココアシガレットを一本出した。

「随分と余裕そうだな」

「まあね。そちらからどうぞ」

そう言った瞬間、不士稔の差し出した手から、灰色の液体が水鉄砲のように噴射された。


絶命ぜつめいショット』


「これは、触れると絶命する液体……」

不士稔がニヤリと笑う。かぐや姫はそれを軽々と避けると、扇子を振るった。


『仏の御石みいし


突然鉢が現れ、中から直視しなくても眩しいくらいの光が出てきた。

「(……⁉︎)」

「どうかしたの不士稔?」

「伏せろ!!!!!!」

不士稔は2人の頭を下げた。

鉢は3人の方に光を照らしていたが、10秒ほど経つと消えた。

「危ない危ない」

「一体どうしたのさ!」

「あの光が普通の光だとは思えない。そうだろ?」

「流石不士稔。鋭いねぇ。失明させるつもりだったけど…」

3人を見て余裕そうにココアシガレットを吸っているかぐや姫は、手に光の木を出現させると、向かってくる不士稔に向かって。


『蓬莱の球の枝』


光の木から弾を発射した。


『絶命パンチ』


不士稔は拳に灰色の液体を染み込ませると、弾を全て撃ち落とし、かぐや姫の顔に向かってパンチした。かぐや姫はイナバウアーして回避し、不士稔の腕を扇子で斬った。

「⁉︎⁉︎⁉︎⁉︎⁉︎」

「…………え…………」

高島と有島は絶句した。目の前で、新しくできたばかりの友達が斬られたからだ。しかし、不士稔はすぐに腕を再生すると、灰色の液体を垂らした。

「流石不老不死。すぐに再生できるんだね」

「当たり前だ!!!!!!」

軽々とかぐや姫は不士稔の猛攻もうこうを避け続ける。


火鼠ひねずみ皮衣かわごろも


かぐや姫は扇子を振るって、2体の大きな鼠を召喚した。その鼠たちは燃えており、雄叫びを上げると、そのうちの一体が突進してきた。しかし、不士稔は大きくジャンプして避ける。


『絶命ショショショットー』


「技名ふざけてんだろ(笑)」

絶命ショショショットーはかぐや姫の方へ向かって飛んでいった。

「追尾するの……けど当たらなきゃ問題ない」

かぐや姫は扇子でショショショットーを斬り落とした。もう一体の鼠が、炎の弾を吹いてきた。不士稔は腕を手で掴むと……。


ズドォォォォォォォォン


腕が吹っ飛んでいった。

「ぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ⁉︎⁉︎」

「もうわけわからん…………」

吹っ飛んだ腕は地面に落ちると、それが不士稔に変わった。こうして炎の弾を避けた。

「ぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ………………」

「え!液体で分身を作るんじゃあ……」

有島が不士稔の方を見ると、不士稔はいなかった。

「あれ⁉︎」

「こっちだ!!!!!!」

腕から変わった不士稔が言った。

「簡単に言えば、分身がいる場所にワープできるのを利用したわけ。さっきの分身はもう消えて…僕は本体なんだよ」

「うーん?よくわからない」

「でしょうね」

「…………」

「ほら!鼠が来たよ」

鼠が突進してくるのを見ると、避けながら不士稔はてのひらから水塊すいかいを出すと、その水塊はかぐや姫に向かって水を発射した。

「こんなもん?」

かぐや姫は扇子で水を吹き飛ばした。不士稔は手を上げて絶命ショットを発射。液体はかぐや姫に向かって上から降り注ぐ。

「……液体発射することしかできないの?(笑)」


『竜のくびたま

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