第12話 月

小さな転送装置に5人が乗った(正確には片足だけだけど)。

「こんなものが転送装置に見えないけどな」

「ってかどこへ転送されるの?」

「月」

不士稔が言った。

「月⁉︎」

「どういうこと?うさぎがいるところへ行って何するの?餅食べるの?」

鑰匙間が言うと、

「何言ってんの、月にうさぎなんているわけないだろ」

と栩義が言った。鑰匙間は反論した。

「夢を持つことは大切だろう?」

「いやいや現実逃避だろ」

「大人はこういう夢がある子供が好きなんだよ。だから演じてるんだ」

「偏見だよ」

「いや、月にうさぎはいるよ?」

不士稔が当たり前のように言った。

「ファ⁉︎」

1番驚いたのは栩義だろう。

「ファファ⁉︎」

高島の方が驚いてた。

「ファファファファファファファファファファファ⁉︎」

有島が1番驚いた。

「なんかめっちゃ連続でファって言ってるんだけど」

「ファ♪ファ♪ファ♪ファ♪ファ♪ファ♪ファ♪ファ♪ファ♪ファ♪ファ♪ファ♪ファ♪ファ♪ファ♪」

鑰匙間は………驚いてる?

「歌歌ってる人いるんだけど」

「いやマジで。普通に放し飼いされてるから」

「あ、そっち系ね」

「まあいいや。転送装置の電源を入れるぞ!」

不士稔がスイッチを押した。









































「………ここは?」

「…着いたみたいだ」

そこは地面が灰色の殺風景な平野だった。

「ここが月なの?」

「そうだよ」

「ってか、空気は⁉︎酸素が無いと………あぁ、さよなら……」

「何言ってんの?この月には地球と同じ酸素があるんだよ」

「へ?」

「まあまあ、とにかくこの家に入って」

有島たちは近くにあった家に案内された。




「いいかい?ここに月の都があるんだ!」

不士稔は地図を広げて×と描かれてる位置を指で指した。

「月の都?マジで?」

「街があるの⁉︎」

「そういうこと。んでここは前線基地なんだ」

「あの…今更だけど、何の話してるの?何で僕らは月に来たの?」

栩義が言った。確かに急に転送装置に転送されて、事情は何も知らない。

「あぁ、それに関しては企業秘密なんでね。部下にも教えてないんだよ」

「マジか……」

不士稔は奥の部屋から餅の入った袋を持ってきた。

「さあ行くぞ!」

「どこへ?」

「月の都だ!!!!!!!!!!!!」

「ファァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ⁉︎⁉︎⁉︎⁉︎!!!!!!!??????」







外に出た有島たちは近くにあったボートに乗せられた。目の前には海が広がっている。

「まさか月に海があったなんて」

鑰匙間は感心した。しかし栩義は疑問に思った。

「おかしいよ。確かに月に海と呼ばれる場所はあるけど、実際に水があるわけじゃないんだ」

不士稔が栩義にこう言われたが、こう言った。

「んー?気がついてないだけじゃないの?僕らも最初は水があるとは知らなかったから、この海を見たときはかなり衝撃的だったけどね」

そう言って不士稔はボートのレバーを引いて出発した。

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