第3話 謎の少年

「おーい、焼きそば〜」

高島が道を歩いていると、知り合いの中年男性が店へ入って行った。

「あれおかしいな?いつもはやってるはずなのに」

「やあおじさん。どうしたの?」

「やあ高島くん。実はこの店いつも通ってるんだけど、今日はなぜかやってないんだよ」

「へぇ、店を間違えたりしてないの?」

「まさか!そんなわけない。ここだ」

確かにここで間違いなかった。いつもは活気のある店だが、今はがらんとしている。人がいる気配もしない。しかし扉は開いている。高島は何かを思い出した。

「そういえば!黒輪くろわさんのパン屋もやってなかったんだよ」

「何⁉︎それではクロワッサンが買えないじゃないか!これは事件だ!警察に言わなきゃ」

おじさんは走って行った。

「最近失踪者が多いな。何かあったのかな?」

今日も雨が降り続く。いつものように。人も消えていく。いつものように。

友達から連絡がきた。

「やあ高島!何凸守なんでものやつ知らないか?」

「何凸守?そういえば最近見てないなぁ」

「やっぱり……。あいつ学校にも来てないんだ。何かあったに違いない!」

「でも、いつか戻ってくるんじゃない?」

「……だよな。気長に待つか」

高島は冗談で言ったつもりが、相手は本当に気長に待つらしい。友情ユウジョウとはこんなものか(ボソッ)。



家に着いた高島は、誰もいないか確認すると、戸棚からケーキとチョコレートを出した。

「よっしゃ!今留守だ!なんでもできるぞ!」

高島はテレビとマンガを見ながらゲームし、ケーキとチョコレートを食べた。

「ああなんて美味しいのだろうか。1人時間最高!」



5時間くらい経った。

「流石にもう何もやることないぞ。宿題も終わっちゃったし」

退屈そうにしてると、インターフォンが鳴った。少し期待しながら玄関のドアを開けると、少年が立っていた。

「…どちら様ですか?」

「……」

「(人見知りかな?)」

名乗りもせずにボケーと立っている

「あの?ここら辺では見ない顔だけど。誰?名前は?どこから来た」

少年は何かボソッと言うと、手を出した。

その時、少年の指から灰色の水が出た。

「うわぁ」

高島は水にかかってしまった。

「…大丈夫だ」

少年は何か言うと、今度は手のひらから泡を出した。その泡は高島を包んだ。

「な、なんだ⁉︎た、助けてぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ」

「無駄だよ。君の声は聞こえない。誰にも」

「おい!どうする気だ!」

「黙っててよ。すぐに目的地に着くから、まあ寝てて」

少年は指パッチンすると、高島は気絶してしまった。

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