第7話 北山順子



 二人で途方にくれていると、向かいから女子生徒がやってきた。


 確か、美術部の部員だった。


 今日は、遅くまで活動していたみたいで、グラウンドの窓から立ち上がって作業している生徒達が見えていたから。


 名前は北山順子。


 けれど、私は彼女の事が苦手だった。


 クラスメイトなんだけど、私の事を疑っていた一人。


 結構強くうたがわれてたみたいだから。


 こんな時でも、うってなっちゃう。


 ひどいのかな。私。


 向こうがこちらに気が付いて走り寄ってくる。


「東子、西野。ねぇこれ一体どういう事? 学校がおかしくなっちゃった」


 西野は特に順子に対して、思う所はないようだ。


「ああ、そうみたいだな。俺達、外に出られるところがないか探している最中なんだ」

「だったら、一緒についていってもいい? 一人じゃ心細くって」

「いいけど」


 西野はちらりとこちらを見る。

 私は反対したかったけれど、こんな気味の悪い場所に少人数で行動したくないという気持ちもあったから、控えめな動作で頷いた。


「やった。ありがと。やっぱり人がいると安心するね」


 順子は気安く西野の方を叩く。


 その行動に拒否感が湧いてきた。


 なぜか、嫌な予感がする。


 ひょっとして順子が例の件を仕組んで、西野と私を別れさせようとしたんじゃ。


 ううん。考えすぎた。


 きっとこんな状況だから良くない事を考えてしまうんだ。


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