第18話 絶望の中で



 絶望していたら、西野に肩をゆさぶられた。


「落ち着け東子。まだここから出る方法があるかもしれないだろ!」

「そんなのない。私達もきっと、順子たちみたいになっちゃうのよ!」


 早く帰っていればよかった。


 忘れ物なんて気が付かなければよかった。


 そうすればこんな目に遭うことなかったのに。


 これが夢だったらどれだけいいだろう。


 そう思った私は、西野に促されながら立たされて、階段を下りていく。


 どこへ向かうかもわからずに。


 そして、その時はやってきた。


「東子、ここでお別れだ」

「えっ」


 西野が固い声で言う。


「一緒にはいけない」


 まって、私を見捨てるの?


 あの夢みたいに。


 私は、西野と離れたくなくて手をのばした。


 でも。


「あぶない!」


 どん、と突き飛ばされて私は階段をころげおちていった。


 衝撃で頭がくらくらする。


 意識が、寸断していった。


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