第1話 方法



 俺の通っている学校には一つだけ、ルールがある。

 内容は難しい事じゃない。

 小さな子供でも守れる簡単な事だ。


 それは、下校時刻を過ぎても校内に残らない事。


 たったこれだけ。


 でも、下校時間を過ぎても学校に残り続けていると、学校に閉じ込められてしまうらしい。


 閉じ込められた人たちは、永久にその場所をさ迷続けなければならない。


 根も葉もないうわさだって思うかもしれないけど、それは本当の事なんだ。

 実際、下校時間を過ぎても学校に残っていた生徒の何人かが、忽然と消えてしまったことがあるらしい。


 教師や警備員はどうなるのかって?

 うん、俺もそこは分からない。

 仕事の関係で学校にいなくちゃいけない大人は大勢いるはず。

 でもなぜか、いなくなるのは生徒だけらしい。

 一体どういう理由なのかは知らないけど。


 だから、さ。

 君も気を付けなよ。

 ほら、もうすぐ時間だ。


 それじゃあね。

 え。

 もしも、閉じ込められた場合は?

 出る方法はあるのか?


 知らない方が良いと思う。

 知ったら、安心して油断ちゃうから。


 そこをなんとか?

 仕方ないな。


 実は、一つだけ出る方法が存在するんだ。


 それは――。





 彼は自分と同じ人間には容赦してしまう。




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る