第5話 黒い影



 不気味な黒い影から逃げた私達は、学校の校舎の職員室に辿り着いた。


 けれど、室内に先生たちの姿はない。

 下校時だったけど、すぐに先生たちは帰るわけじゃない。


 生徒達が学校の敷地内に残ってないか確認した後、残った仕事をこなしてからのはずなのに。


 それなのに、人の気配すらなかった。

 息をひそめて、先生のデスクの下に隠れる。


 窓の外に黒い影が映った。


 こっちに来ないで、と必死に念じたのが伝わったのか、黒い影はそのままどこかへ行ってしまった。


「ふぅー、助かったんだよね」


 私は詰めていた息を吐く。


 西野は耳をすませて、あの黒い影が近くにいないことを確認したようだ。


「もう、行ったみたいだな」


 私はこの異常な環境を見回して、泣きそうになる。


「どうしよう西野!」

「しっかりしろ東子」


 西野はそんな私を励ましてくれた。

 

 落ち着けるように抱きしめてくれて、背中をさすってくれる。


「大丈夫だ。東子のことは俺が守る。何とかして、一緒にここから脱出しよう」


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