第4話 閉鎖空間



 異変に気がついたのは、その時だった。


 何かがおかしい。


 学校の空気が一瞬にして変わって、暗くよどんだ空気になった。


 赤色に燃えていた空が、スイッチを切り替えるように夜の闇に包まれた。


「えっ、これってどういう事?」

「何が起こったんだ?」


 西野と共に困惑して辺りを見回していると、背後から気配。


 振り返ると、真っ黒な影が立っていた。


「何あれ」


 人の形をしているけど、詳細な細部は分からない。

 影はその手に斧をもっていた。


 図工室にあったような気がする。


 あれは、先生が昔自分でつくったんだっていっていたやつだ。


 得意そうな顔で、かざってあったのを褒めてたんだっけ。


 昔あの斧が血まみれになって発見された事がある、なんて話があったけど。


 目の前の影は、その斧を持っていた。


 どんな容姿をしているのか、どんな服装なのか分からないけど、目と口の部分だけははっきりと見える。


 影がにやりと笑った。


「東子、逃げろ!」


 次の瞬間、猛烈な勢いで影が追いかけてくる。


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