第3話 喜多寺東子と西野三郎



 いつから西野とよく話をするようになったんだろう。

 昔から女子と話をするよりは男子と遊んでいた方が好きだったけど、他の男子と付き合うのとはちょっと違う。


 一緒に話したり遊んだりもするけど、西野は何と言うか他の人とは違って特別な感じがするのだ。


 今日みたいに部活が遅くなって時でも、校門の所でちゃんと待っていてくれる姿を見ると、不思議な思いで胸が満たされていく。


「よう、お疲れさん」

「西野こそ。お互い部長だと大変だね」

「確かに、部員の面倒をしっかり見なくちゃいけないからな」


 西野も私も互いに部長だから、互いの大変さがよく分かる。


 それで色々話す事も多いんだけど、一緒に帰るのはそういうのとは違う。


 クラスの中で微妙な立場だから、西野は気を使って普段よりも一緒にいてくれてるだけなんだと思う。


 私は、持ってきた荷物を見て気が付いた。


「あれっ? 忘れ物しちゃった。持ってきたつもりだったのにな」

「何か置いてきたのか?」

「うん、部室に筆記用具置いてきちゃったみたい」

「とってこればいいじゃん」

「でも」


 せっかく待ってくれた西野をまた待たせるのはしのびなかった。


「だったら一緒に行こうぜ、とってくるだけだし」

「いいの?」

「前に俺が忘れた時もつきあってくれただろ? お互い様」


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