第14話 犠牲者
連絡通路を歩いて、体育館にたどりついた。
うちの学校は、他のところよりも体育館が大きい。
大会出場の多い学校だから、運動系の部活に力をいれているためだ。
そんな体育館の、大きくて重い扉をあけると西野が「うっ」と声をもらした。
背中しか見えないから、どうして西野がそんな声をだしたのか分からない。
そして、西野は扉を再びしめてしまう。
「西野?」
「見ない方がいい」
「えっどうして?」
その行動の意味が分からず首をかしげていると、いいにくそうにしている西野が、扉の方に視線をむけた。
そして、深呼吸してから、理由を話し始める。
「人がいた、でももう生きてはいない」
「それって!」
もしかして順子がおそわれたみたいに、化け物におそわれたのだろうか。
人体模型みたいなのがここにもいた?
それで、体育館にいた人は……。
「離れた方がいいな」
「そうだね。私達も襲われるかもしれないし」
酷い事言っているような気がして、気分が沈んでくる。
普通なら悲しまなくちゃいけないのに、こころがマヒしてきたのかな。
自分達の事しか考えられなくなってしまったのかもしれない。
体育館にいた人とは、もっと早く合流できていたら、助かったのかな。
それとも、私達まで一緒に死んでいたのだろうか。
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