第11話 逃走
西野が「この化け物め!」といって、人体模型に殴りかかった。
模型は吹っ飛ばされる。
「順子、今のうちに」
「うっ、うん」
そして西野はその場にへたりこんでいた順子を立たせて、入り口で固まっていた私に声をかける。
「東子、逃げるぞっ!」
私は、唇をかんで走り出した。
何もできなかった。
西野だけに危険な目にあわせてしまった罪悪感で後ろをふりむけない。
私が順子に思う事があったから、助けられなかったのかな。
私はひどい人間なのかもしれない。
しばらく走った後、人体模型が追ってこない事に気が付いて足をとめた。
ここは、階段の踊り場だ。
息があがっている。
それは三人とも同じだった。
心臓がばくばくいってて、破裂してしまいそう。
あんな恐ろしい目に遭うなんて。
この学校はやっぱりおかしい。
「ぜぇ、はぁ、いったいなんなの。あれ、気持ち悪い」
順子は泣きそうな声だ。
西野は優しいから、その順子の背中をさすってやっている。
その姿を見てると、嫉妬心が芽生えてきてしまう。だから、あわてて目をそらした。
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