5 星団戦隊プラニセイバー
『みんな。手数をかけるけど、再起動するよ。さっき解除したときの要領で、もう一度ブレスレットに触れて!』
ルルウラ=レイの言葉に五人は従い、左腕に触れるとブレスレットは瞬間、光と熱を発した。
〈承認完了〉
「……おいおい、お前たち。装着だけなら誰でもできるが、まさか……すっかり適合しちゃったわけか?」
ザムザム=ギルの武具を避け、懐へ飛び込み手首を押さえたのは、赤い装備の者。阿賀川マモルだった。
「それ、装着できただけの奴の動きじゃないぞ?」
「お前いいかげんにしろ!
処理とか処分とか、俺の職場と町内で!」
「……面倒なことしてくれるよなあ……
あー、はいはい」
何か通信が入ったようだ。
「おい、坊や」
力の抜けた声で。
「お前が手間取らせるから、予定が早まったぞ」
「なんだって?」
「これからこちらの地球への侵攻がはじまる。まだ総攻撃ではないが、ここまでは決定事項だ」
決定事項。
「十分後に大気圏付近に差し掛かる。そこから手順を踏んで拡散し各大陸への攻撃を開始するとさ。
ついでに俺はクビだ、どうしてくれる」
「知るか!
どうなんだよ、ルルウラ=レイ」
「はい」
「これ、食い止められるか?」
マモルがとっさに考えたこと。
なるべくこちらの地球人の目に止まらない場所でとりあえず阻止する方法はないのか。
大気圏あたりでは気象関係者に見つかるかもしれないが、そこを悩む暇もない。
「……足止め程度なら。
そして、その強化服を装着した君たち五人が、もしも本当に宇宙空間での活動も可能の適合者なら。方法はなくはないけど……」
「やるか?」
マモルが幼なじみたちを見る。
ヘイタ。ナミ。ユウスケ。アオイ。
「おい、時間がねえぞ?」
ザムザム=ギルが煽るように言う。
「君たちの地球の残り時間がな」
「……行こうよ、マモル」
青い装備のアオイが言った。
「アオイ。怪我は?」
「見た目ほどひどくないの。それより地球のことよ」
「俺も行く。適合者って、よくわからねえけど」
ヘイタも。
「行くしかなさそうだな?」
「うん」
ユウスケとナミも。
「行くのかい?」
ルルウラ=レイの、目らしき部分が青く光った。
「ザムザム=ギル。母艦の現在位置は?」
「クビだし、わからねえよ」
「クビになったばかりなら、まだアクセスできるかもしれないだろ? そういう手続きは杜撰だって聞いてるぞ」
「確実に俺の仕業ってバレるだろ。
……E274α8点。
ついでにおまけだ、頭はひとつだ」
「ありがとう。
説明が遅れたけどその強化服の特徴は、攻撃のダメージを軽減することと、身体能力の向上。宇宙空間での活動も可能なんだ。
とっさの事だったけれど、君たち全員の装着が間に合ったのは幸いだった」
もしも装着していなかったら。
ザムザム=ギルの攻撃を避けられず、どうなっていたか。
そして今。
「強化服を身につけた君たちが、戦闘含む宇宙空間での活動が可能かどうかは、転送後にわかる。
転送が完了できれば、間違いなく適合者なんだ。地球侵略を防ぐためにがんばろうね。
適合者じゃなかったら。
心配しないで。転送できなかったメンバーは、単にこの場所に残されることになる。その場合は急いで強化服を解除して逃げて身の安全を確保してね。あとで連絡する」
続いてルルウラ=レイは宣言した。
「君たちのチームには〈プラニセイバー〉という名前がある」
「プラニセイバー……」
「では、集まって」
星空は、それでも静かにまたたいているのだ。
「俺は見物させてもらおう。
……と、言いたいところだが、少々ヤバいな。今日のところは消えるとしよう」
ザムザム=ギルの姿が消え、町を見下ろすこの場所には、五人とひとり。
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