星町三小天文クラブ~星団戦隊プラニセイバー
倉沢トモエ
ぼくたちの星団戦隊プラニセイバー
1 はじまり
1 ある真夜中に
月の光と、通りの街灯の明かりがぼんやりとさし込んでいた。
消し残しのある黒板と、古ぼけた教卓。
(ほんとにそっくりそのままなんだ)
並んだ机の、ちょうど教室の中心あたりの席に。
(ぼくのいた教室だったら。
あそこは、ピピラ=ルの席だった)
〈ぼく〉。
彼はそのとき、この教室の席のひとつについていたのか。
いや。机の上に、ころん、と丸いものが乗っているだけ。声はそこから聞こえるのだ。
(ここの地球も奴らは狙っているなんて)
そのまま声は長い長いすすり泣きに変わる。
ひとしきり泣いて、落ち着いたそのとき。
「本当にそっくりそのままだなあ、ルルウラ=レイ」
覚えのある低い声。心を逆撫でするような口ぶり。
「追ってきたのは君か。ザムザム=ギル」
呼ばれたその者は教卓の上に腰をかけていた。
大柄な体躯を、暗殺者らしい黒に包んで。
「お前は。まるでボールだな」
机の上の球体。
と、思えば、内部から光がこぼれ、まず、頭部らしき部分がせりあがった。
「かわいらしい身体を選んだものだな」
「急いでいたんでね」
言葉に続いて、左右に穴が開き両腕が伸びて、続いて下方からは両足。
ボールから丸い小さな頭と、頼りない手足が伸びた、子供の玩具のような風体があらわれた。
「もっとも君の実年齢では、そんな玩具で遊ぶのがふさわしいんだがね」
「なんだと!」
侮辱され、その玩具のような身体がはずんだ。
次の瞬間、数秒前まで彼が泣いていた場所には熱線による焦げ目のあるひしゃげた机と椅子が残る。
「あぶない、あぶない。
やはりぼくは始末されることになったんだね。ということは、もう君たちは、あれの位置を把握したというわけかい?」
ルルウラ=レイと呼ばれた彼は、天井の角にいた。
「玩具の割にはよく動く義体だな。
いや、手っ取り早い方法として、お前のその義体を破壊すれば緊急信号が本体に戻るだろうと、そこだよ」
「なるほどね。考えたじゃないか。
あれ?」
この時間は無人だと報告を受けていたのだが。廊下を走る数人分の足音が近づいてくる。
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