第026話、来ちゃった★
「……なにしてるんですか?」
朝おきて顔を洗ってご飯を食べて歯磨きして着替えをして、治癒院へ出勤するために家を出たら、、、 ドアの外になんかいた。
「おはよう★」
俺は秒でドアを閉めた、どうやら俺の脳はまだ寝ているようだ昨日はお茶を飲みすぎたせいだろうか、それとも新しく知り合った店主のキャラが強烈だっから俺の脳が少し汚染されたのかもしれない。 俺は自分の頬を両手で叩き目を覚ませと念じながら再度ドアを開けてみた。
「お・は・よ★ 来ちゃった、キャッ★ う"っ!」
思わず顔を蹴飛ばしてしまった、しかたないよね俺だって人間だもの、家のドアを開けて恐怖の魔王とかいたら誰だって蹴飛ばすよね。
「ふっ★ あまーい★」
なんと目の前にいる不思議な生物は俺の蹴りを受け止めた、余裕の笑みを浮かべている、なんという凶悪な笑みだ、俺の背筋に寒気がはしる。
「朝からこんな激しいなんて、ネネタン興奮しちゃう★」
ひとりで勝手に興奮してろ変態プレイに俺を巻き込むな、なんで家を知っている? いろいろ言いたいことはあるがうまく口がまわらず、俺は目の前の奇っ怪な生き物を無言で睨んでしまう。
「そんなに見つめられると、ネネタン溶けるかも★」
いっそ骨の髄まで溶けてしまえ、地面に埋めて復活できないように勇者さまにでも頼んで封印してやる。
「なんで家を知っているんですか? なにしに来やがったんですか? 朝から不快なもの見せやがって俺の精神を崩壊させる気か?」
(どうかしたんですか? 朝からわざわざ訪ねてくるなんて、なにかあったんですか?)
「サルナスちゃん、本音と建前が逆になってるわよ★」
俺は動揺して本音をぶちまけた、目の前にいるのは『ネネタン』 昨日の夜に食事をしに行った店の店主だ。 服装は朝なのに夜の歌舞伎町にいるような感じだ、いやそれより派手だ、自慢の脚線美を見せつけるようにスリット入りのチャイナ服にラメが強めに入っている、夜と違って太陽に反射するからラメがギラギラとまぶしいんだよ! さっさと用件を話してほしい。 そしていつのまにか "ちゃん" 付けで呼ばれている、距離の詰め方が怖い。
「それで? なんの用ですか? 仕事があるので三秒以内に答えて俺の視界から消えてください」
「冷たいわね、昨日の夜はあんなに仲良くしたのに★」
「誤解を生むような発言は控えてください、通報しますよ」
「せっかちね、今日は治癒院に用事があって、せっかくだから同伴出勤しようかと思って★」
※ "同伴出勤" とは夜のお店の美しい蝶々たちがお店に男性を招くために出勤前から行動を共にして、逃がさないようにするためのサービスである。
(この場合は "蝶々" というか "蛾(が)" だよな)
「一人で行ったらいいじゃないですか」
「え~★ 一人じゃ不安だし心細い★」
いまのあなたなら怖いものなしですよ無敵ですよ、その服装はなんですか? 今からどこかで紅白○合戦があるんですか? それとも実は冒険者で光の反射を嫌う魔物でも狩りに行くのですか? その隣を俺に歩けと言うのですか? どんな試練だよ!
「あ~…… 今日は訪問治療の係でして、治癒院ではなくて他のところに行くんですよ、だから治癒院までの付き添いは難しいかなぁ~」
「あれ? 今日は治癒院の勤務予定だって聞いてるわよ★」
「だれに?」
誰だよ個人情報もらしたの、見つけたらタダではおかない。
「ひ・み・つ★」
ムカつくなコイツ、さらに言葉を発する度にしなっとしたポーズをとるのが更にムカつく、このままいつまでも立ち話をしていると近所でウワサになってしまう、変なウワサでもされたらここに住めなくなる、とりあえず家を出よう。
「とりあえず出ましょうか、仕事に遅刻してしまうので」
「ええ★ あなた★」
そう言って俺の腕に絡み付いてこようとしたので警告もなしにネネタンの腕に "ケガハエール" をかけた、いきなり両腕にモコモコの毛が生えてネネタンは驚愕し、これ以上からみつくようなら足にも "ケガハエール" をかけると言うと素直に離れた、今度からこれでいこう、ちなみに生えた毛については解除の魔法を知らないので放置だ、後日に脱毛エステに行くように勧めた。
「しくしく」
「まだ落ち着かないですか? 泣いててもキモいだけですよ」
「ひどいわ泣いてる私を慰めてくれてもいいのに、だって腕にこんなに毛が…… しくしく」
「俺も悪かったですけど、ネネタンさんも悪ノリが過ぎるんですからお互い様です、俺も朝から魂を削られる思いでした、危うく深い眠りに入りそうでしたよ」
「それは言い過ぎじゃない? 大丈夫よ寝たら私のキスで起こして上げるから」
「寝ぼけたことを言うと更に毛を増やしますよ、今度はどこにお望みですか? ネネタンの好きなピンクの毛にしましょうか? 宴会で盛り上がりますよ」
腕毛が生えてからネネタン語尾の★が減った、ギラギラのチャイナドレスを着て、キン○マンに出てくるジェ○○モのような腕をしたオネェさん、不気味すぎるけどこのまま治癒院に行って大丈夫なのだろうか、やはり足にも毛を生やした方がよりジェ○○モになれるのではないだろうか。
***
治癒院に到着した、入り口にいる人たちが少しざわつく、俺の隣にいる存在に注目が集まっているようだ、存在感が有りすぎる。
「着きましたよ、これからどうするんですか?」
「えーとねぇ★ ノミーちゃん呼んできてほしいな★」
「の、ノミー…… ちゃん?」
俺はその名前をひとりしか知らないけど、よもやよもや知り合い? えっ もしかしてそういう関係? とにかく呼んでくるしかないよな。 俺は治癒院に入りノミー課長を呼んできたが詮索はしにくかったので『ノミー課長にお客さんです』としか伝えていない。 ノミー課長はネネタンを見るなりこう呼んだ。
「お兄ちゃん!」
えっ? お兄ちゃん?
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