第012話、初めての○○


2022/03/03、修正してます。


ジムに到着したけど、いざ入るとかると俺はビビリだして、入り口付近でウロウロしている、さっさと入ればいいのに意外と小心者なのです、ビビリです。



「いつもは家で筋トレしてたから、こういうジムは初めて来たけど、やっぱりジムって敷居が高いんだよな、新入りへマウントしてくるベテランのオッサンとか、筋肉が凄いアピールをしてくるオッサンとか、お世話をやたらしてくるオッサンとか、、、 オッサンとかオッサンとか、、、 やっぱ帰ろうかな~…」


俺がそうやって、ブツブツ言っていると、またしても後ろから声をかけられた、後ろから声をかけるのって基本なのかな。



「サルナス君じゃないか? 何してるんだい?」


「えっ?」


振り向くとそこにはノミー課長とヨネーさんがいた、ヨネーさんはやや疲れた表情をしている。


「あ、ノミー課長とヨネーさん、お疲れさまです」


「お疲れ、、、 さま!」

ムキッ! とポージング


ノミー課長は変わらず良いマッスルポーズをとるね。


「お疲れさま、サルナス君」


「それで、ジムの入り口でなにして、、、 サルナス君もこのジムに通ってたのかい? 奇遇だなぁ」

ムキムキ!


「あ、いえ、初めて来たんですが、どうしようかな~って思って」


(そういや、前にジムに誘われたっけ、ここのジムだったのか)

※ 第006話を参照。


「そうなのかい? ちょうど良いじゃないか、ヨネー君も今日が初めてでね、僕が誘ったんだ!」

ムッキン!


「はは、そんなんだ、課長に誘ってもらえてね」


ヨネーさんはややぎこちない笑顔だ、どうやら少し強引に誘われたようだ、ノミー課長はガシッと俺の腕をつかみ、強引に中へ連れ込んでいく、ホテルではないジムだ、そこは間違わないように。


「さぁ、二人とも入ろうか、今日は僕が案内してあげるよ」

ムッキムキ!



***



中に入ると受付のお姉さんが挨拶をしてきた、爽やかでとても良い笑顔だ、美人系のお姉さんだ、これで男性の会員が増えるんだろうな、けれどジムの名前がなぁ、、、 ド直球なネーミングだ、もう少し何かなかったのかな。


「ようこそ、ムッキムキジムへ!」


「「こんにちは」」


「あ、ノミー様、いつもご利用ありがとうございます」


「今日は後輩を連れてきたよ、中の案内は無しでいいよ、僕が教えるから」

ムキッとポージング。


「わかりました、ではごゆっくり」

ニコッ


受付で挨拶をして、ノミー課長の後ろをついて行き、トレーニングルームの中へ入ると意外と女性が多く、みんな熱心に筋トレをしている、予想していたオッサンはほとんどいない、キョロキョロしてると誰かがノミー課長に声をかけてきた。


「あ、ノミーさん、こんにちは」


細身だが筋肉質な女性だ、ノミー課長の知り合いかな。


「やぁ、こんにちは、仕上がってるね~、うん、良い筋肉だ」

ムキッ


「まだまだですよ、ノミーさんには負けます、新人さんですか?」


筋肉質な女性は俺たちの方を見て、ニコニコと笑顔を向けてくる。


「そう、期待の後輩達だよ」

ムキッ


「いいですねぇ、じゃあ頑張ってください」


女性は筋トレに戻っていった。


「最近は "筋トレ女子" というのが流行っているらしい、以前に比べて女性の比率が増えて、このジムは女性の方が多いくらいだよ、さっきの人はここの常連さんでよく会うんだ」

ムキ


「そうなんですね、たしかに女性ばっかりだ」


ジムの中を見渡すと男性の方が少ない。


(ジムのイメージが変わったな、今って女の人が多いのか、しかもなんかノミー課長モテてるっぽい、女性の視線がけっこうノミー課長に集まっている)


今度は知らないオッサンが目の前に現れた。


ノミー課長「おっ!」

知らない男性「おっ!!」


二人の視線がぶつかる、そして、、、


「「ハァーーーー!  マッスゥォーール!!」」


突然、奇声?をあげて、二人はポージングをした、俺は思わず声をあげた。


「えっ!? なにごと???」


知らない男性は見事な "モストマスキュラー" のポージングをとる。


※ 身体を真正面に向け、両腕を身体の前に出し、全身に力を込め、筋肉の膨張を見せつけるようなポーズ!



対するノミー課長は見事な "サイドチェスト" のポージングをとる。


※ 身体を横に向け、上半身だけをやや正面に向ける、そして片手でもう片方の手首を掴んで、胸の厚みを見せつけ、なおかつ腕の筋肉を強調するようなポーズ!



(怖っ! えっ? なに? 何が起きてるんだ?)


「ふぅ~ 相変わらず良い筋肉だ!」


「いやいや、君も良い筋肉だよ」ムキッ


ノミー課長は俺とヨネーさんの方へ振り返り説明する。


「ああ、驚かせてすまないね、彼は僕の友達でね、会ったときはポージングで挨拶をしてるんだ」

ムキッ


「初めまして、ノミーのライバル! ナカムーだ! よろしくぅ!」

ニカッ!


この男性は『ナカムーさん』というのか、爽やかな笑顔、背は低めだが良い体格をしている、アゴにはうっすらとヒゲが生えている、まだ夕方だけど元々のヒゲが濃いのだろう、眉毛も濃い、胸毛も濃い、なんか全体的に毛深いな。



「こんにちは、ノミー課長と同じ職場のヨネーです」


ヨネーは少し引きながら挨拶をする。


「こんにちは、同じく新人のサルナスです」


俺ともやや引きながら挨拶をする、基本的に毛深い人は苦手なのだ、なぜだろう? 全身に毛がフワフワの動物は好きなんだが、全身に毛がフワフワの人間はあまり好きではない。


「ほ~ 君はなかなか良い筋肉をしているね、だが、、、 短期間でついたような感じだね、不思議な筋肉だ」


ナカムーは俺の身体をジロジロと見てきた。 凄い、一目で見抜いた、たしかに俺の場合は治癒の研修で筋トレ→治癒を繰り返して付いた筋肉だ、まぁその後は普通に自分で筋トレしたけど)


「君の方は、、、 鍛えがいのある身体をしているね」


今度はヨネーさんの身体を見る、一言だけだ。


「はは、頑張って鍛えます」


「ナカムー、今日は後輩に案内をするから、筋トレ対決はまた今度な」


「わかった、ノミー! 良い後輩をもったな! ワシの所にも良い後輩が入ってな、ここに時々きているから会った時はよろしくな!」


そう言って、ナカムーは去っていった、濃い友達だ、類は友を呼ぶって本当だ。 あれ? 俺もその枠に入るのか?


「では、改めて、、、 まぁ今日は初めてだし、色んな器具を少しずつ試していこうか!」

ムキムキポーズ


「「はい」」



***



一時間後


「はいっ! お疲れさま! 良い汗だ! 青春を感じる!」

ムキ


「「お疲れさまでした~ ハァハァ」」

汗だく


(きっつ! 家でする筋トレとはひと味違うな、汗だくだ~ けど器具がいろいろあって面白かった)


俺はなんとかついていけたが、ヨネーさんはヘロヘロだ、まともに会話ができないくらいダウンしている。


「サルナス君、、、 よく、、、 ついて、、、 いけたね、、、 僕は、、、 もう、、、 きつくて、、、」


「今日は器具を試すのがメインだったからね、本格的に始めたらもっと凄いよ! 病み付きになるよ!」

ムッキン


「そうなんですね、、、」


とても明るい笑顔のノミー課長とは対称的にヨネーさんは苦笑いをしている。


「いやー! 若者を鍛えるのは楽しいねー!」


とても嬉しそうなノミー課長。


「じゃあ、今日はこの辺にして解散しようかね」

ムキ


「「はい、ありがとうございました~~」」



***



帰宅


「ふぅ~… 良い汗をかいた~、今日はよく眠れそうだ、そういや明日は冒険者ギルドに顔を出すように言われてたっけ? なにするんだろうな、、、 ぐ~…」


疲れて秒で眠ってしまった、明日は冒険者ギルド、何をされるのやら。


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