第001話、仕事やめようかな、、、後編
2022/03/04、修正してます。
次の日、職場の朝礼にて上司のカッチョンさんがみんなの前で発表してきた。
「え~、ヨシムさんが今月いっぱいでここを辞めることになりました」
(えっ!? ヨシムさんが? なんで?)
唯一優しいヨシムさんがいなくなることに俺は動揺し、思考が停止した。 気持ちを持ち直す間もなくそのまま仕事開始となり、ヨシムさんに話を聞きに行きたいが今日も忙しく俺は目が回っている。
***
昼休み
「あ~やっと昼御飯だ、腹がへった~」
「なにしてる?」
俺がが昼御飯の弁当を開けようとしていると、先輩の『サドンさん』が話しかけてきた。
「(ビクッ!) あ、サドンさん、昼御飯です」
(ビックリしたっ! サドンさん、顔が怖いんだから急に現れないでほしい)
サドンさんは悪い人ではないが悪人顔でめっちゃ怖い、神経質な雰囲気がありいつもたんたんと会話をする。
「それはわかる、朝にお前が対応してた客が魔法道具がおかしいと言ってきている、対応しなさい」
サドンさんは表情を変えず俺に用件を伝えてきた。
「えっ? でもあれはシラハさんが作った魔法道具ですし、シラハさんが対応した方がいいのでは……」
「でも朝に対応したのは君だろ? 行きなさい」
「…わかりました」
(俺の昼御飯、、、)
俺は悲しみの表情で客の対応へ向かう。
***
午後になった。
(結局、昼御飯ぬきだよ、腹へったよふざけんな)
「お~やってるね」
「『カワキさん』 お疲れさまです」
先輩の『カワキさん』が話しかけてきた、仕事以外で会話の少ないこの職場でカワキさんは周囲の人によく話しかけている、人をいじるクセがあるので俺はなるべく近寄らないようにはしている。
「お疲れさん、さっきサドンになんか言われてたね、どした? 怒られた?」
カワキさんは少し楽しそうな表情をしている。
「いえ、お客さんの対応を言われただけです」
「そっかそっか、あいつ顔が怖えーだろう、あいつが出ると客がビビるからな、もうちょっと愛想よくしたらいいのにな
。 どうだ? 夜に呑みにでも行くか?」
(この人、呑むと更に凄く絡むんだよな~ 俺は苦手だ)
「えーと、今夜は用事がありまして」
俺はなるべく申し訳なさそうに断る。 カワキさんのキラリと目が光り俺をいじってくる。
「女か? ほ~ 上司より女? ほっほー」
カワキさんはニヤニヤしながら目を細めている。
「あ、いえ、そうではないのですが…… すみません」
「まぁいいや、サドンでも誘うかな、じゃあな!」
カワキさんは去っていった、次の標的はサドンさんかな。
「ふぅ、悪い人ではないけど、酒癖がなぁ」
「よっ! サルナス君!」
サドンさんと入れ替わりに今度はヨシムさんが話しかけてきた。
「あ、ヨシムさん」
ヨシムさんは俺に甘いお菓子を突き出してきた。
「これ食え」
「ありがとうございます!!」
(うめー! あまーい!)
俺はお菓子を食べながら、ヨシムさんに聞いてみた。
「……ヨシムさん、ほんとに辞めるんですか?」
「うん、長くやってきたけど、やっぱりここは私には合わないかなって」
ヨシムさんは少し寂しそうだ。
「この後どうするんですか?」
「実家の治療院を手伝うよ」
「治療院ですか、ヨシムさんに向いてそう」
(優しいし笑顔も良いし、合っていると思う)
「まぁ、人間相手だから、道具ばかり相手にしてた今までとは勝手が違うし大変だろうけど頑張ってみるよ、サルナス君には先輩としてあまり教えることができなかったね」
「いいえ、ヨシムさんにはお世話になりました、向こうでも頑張ってください」
「おう!」
ヨシムさんは明るく返事をした。 俺は考えた、ヨシムさんが辞めるとなると残った人材は・・・
【シラハ】
俺の教育担当、けれど何も教えてくれない、目つき悪い、愚痴が多い、小太りしててあぶらぎったオッサン
【クロキン】
俺の同期、太い神経、悪いやつではないが、俺とは性格が合わなくてよく意見がぶつかる
【シューニン】
俺の先輩、仕事はできるが嫌みが多く、ねちっこい、背の低いオッサン
【カッチョン】
一番上の上司、人間性は悪くないが、残業はまったくしない、部下に仕事を押し付けるオッサン
【サドン】
顔めっちゃ怖い、影が薄い、基本的に無言で仕事してることが多い、神経質そうなオッサン
【カワキ】
性格は明るいがよく人をいじる、特にサドンをよくいじる、苦手だ、飲んだくれのオッサン
オッサンばっかじゃねーか! 濃いー! 唯一まともで紅一点のヨシムさんがいなくなると、こうも濃い顔ぶれになるのか! どうする? このままでは俺もいずれは、濃いオッサンに!?
よ、よし! ここは決断の時だな、ん~転職しよう、そうしう!
俺は妙なテンションで決意した。
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