第17話
(※ローマン視点)
これからどうなるのか、僕はいろいろと考えていた。
まず、マリーが死んでいることが発覚した時のことを考えた。
犯人が僕だとすぐにわかるかどうか、それは不明だ。
しかし、あることに気付いた。
彼女の家の金庫には、あの写真がある。
僕と彼女が裸で一緒に写っている、あの写真が……。
彼女の死は、どう見ても自然死や事故死には見えない。
彼女の死が発覚すれば、殺人事件として捜査されるだろう。
そうなると、憲兵たちは、どの程度調べるだろう……。
金庫自体は、見付けることができるだろう。
べつに、隠しているわけではないのだから……。
問題は、その金庫を開けようとするかどうかだ。
ダイヤルの番号がわからなくても、慎重に壊せば、中身がなんなのか、見ることができる。
その場合、金庫が元通りに直らないけれど、既に金庫の持ち主が死んでしまっているので、役目を果たす必要もない。
つまり憲兵は、その気になれば、あの金庫の中身を見ることができるのだ。
そして、もしあの金庫の中身を見られたら、僕が捜査線上に浮上するだろう。
ふたりきりで、しかも裸で写っている。
しかも、あのタイプのカメラは、撮影した写真に、日付と時刻が表示されるはずだ。
最近彼女と親密だったことがバレる。
僕は、限りなく黒だと判断されるだろう……。
だとしたら、あの写真を、憲兵に見られるわけにはいかない。
なんとかして、あの写真を回収する必要がある。
しかし、どうすればいいんだ?
写真を回収しようにも、ダイヤルの番号はわからないし、金庫自体は重くて運べない。
金庫を破壊するにしても、それなりの道具が必要だし、壊す際は大きな音がするから、そんなことをしたら周りの住人に怪しまれてしまう……。
しかし、悩んでいる時間は、あまりない。
いつ彼女の遺体が発見されるか、わからないからだ。
調査が始まれば、僕が彼女の家に侵入することは不可能になる。
何か手を打つなら、今のうちにしなければならない。
しかし、何をどうすれば、あの写真を回収することができるんだ?
そんなこと、不可能だ……。
「いや……、待てよ……」
僕は自分の発想に感心していた。
そうだ……、考え方を変えればよかったんだ。
写真をどうやって回収するかばかり考えていたが、まだほかにも、手はあることに気付いた。
それには、僕の言いなりであるクリスタの手を借りる必要がある……。
あれこれ悩まず、彼女に協力されればいいだけだったんだ。
僕は思わず、笑みを浮かべていた……。
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