第9話
『・・・畜生めッッッ!!!!一体、一体アイツは何なんだッ・・・・・・!!!』──理解が全く追いつかない。不条理な災害のようにいきなり現れ、好き放題にこの場を搔き乱したかと思えば、厄介な"置き土産"を置いてこの場を去りやがって・・・・・!!!
今や数少ない魂の貯蔵をまた1つ消費して、"
ふと、あのユンゲ達の方を見れば、あのクソったれによって召喚されたディヴァウラーによって彼らの生命は最早風前の灯火の状態であり、私が直々に手を下すまでも無いだろう。
──もうこの場に用は無い。さっさと退散して傷を癒さねば──
そう思い、"
──また、"お前"は見捨てるのか。──
────"お前"はそうやって近しい者達をも見捨てた────
──愛する者も愛した祖国も何も守れず── ──"我が息子"と言っておきながら、"お前"は"彼ら"に何をした?──
──「「「「「「空虚な希望と中身の無い美辞麗句を語りながら、"お前"は愛する者達と祖国に何を齎した?」」」」」──
──結局、"お前"は多くの命を奪っただけ。誰も幸せににしたことも救ったことも無い──
──"お前"は臆病者だ──
──怖いから、"あの時"の様に無辜の者達を容赦なく殺せる──
──人の身であれ、人外の身であれ、結局のところ、それが"お前"の本性なのだ──
──「「「「「「そんな"お前"は、"また"エヴァを殺すだろう」」」」」」──
耐え難い良心の声に私は、思わず苦悶の声を上げながらその場にうずくまり、今この場で最も認めたくなかった事実を突きつけられる。
──『・・・嗚呼、そうか。結局、昔も今も"私"は"何も変わっていなかった"のだ』──
私の呪われた霊が永遠の日蝕に覆われたあの世界へと堕ち、言語にする事も想像にする事もできぬほどの苦痛・恐怖・絶望の数々を味わいながら、"奴ら"の拷問によって徐々にダイモンへとその身を変えられた時、薄れゆく意識の中で私は、あの時こう思ったではないか──
──『もし、もしやり直す機会があれば、それがもし奇跡的に与えられたのであれば、今度こそは誰かを少しでも助け、幸せにしたい』と──
そんなことを思い出していると、何故かあの狩人の姿がふと視界に入り──その詳細な姿をハッキリと目にした瞬間、私は雷鳴が直撃したかのような強い衝撃を受けた。
『な、何故、あのユンゲが"あんなもの"を身に着けている!?』──私はわなわなと震えざるを得なかった。私は"それ"に見覚えがあった──否、見覚えがあるなどという生易しいものでは無い!かつて、私が残した負の遺産を、まさかここでも目にしようなど一体誰が考えたであろうかッ!!?
──必死に逃げ回る狩人のその首には、この世界に存在するはずの無い「騎士鉄十字章」がお守りの様にかけられていたのだから──
『・・・・これは、何かの運命なのか?』──いや、今はそんな事を考えている暇は無い。私はあのユンゲにどうしても聞かなければならないことができた──
気を取り直して愛用のハルバードを手にした私は、ディヴァウラーへと勢いよく襲い掛かった。
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