第6話
──平原の辺り一面を激しい爆炎と煙が包む──
「ゲホッッ!! ゲホッッ!! ユーリが叫んでくれなければマトモに喰らっていた・・・・!!!」
ギリギリの紙一重で裂けたとはいえ、全身を生きたまま火炙りにされたような激痛が走る──火に対する抵抗力を持つ魔法の装備類を身に着け、かつ"避けた状態"でコレか・・・!!
「ハァハァ・・・!!
「・・・・・あのクソトカゲの炎よりはマシだが、中々に・・・痛てぇじゃねぇかッ・・・・!!!!」──不味い・・・!! ベルガの奴はマトモに2発も喰らってる・・・!!
急ぎ、治療用のポーションをベルガへと投げ渡し、アイツがそれを勢いよく飲み干して傷を癒した瞬間───あり得ない速度で間合いを詰めてきた奴が、ハルバードを振り下ろしながら姿を見せる。
「ベルガッッッッッ!!!!!!!!」
「!!」
俺の声に辛うじて反応したベルガは、空になった瓶を瞬時に投げ捨てると同時に、愛用の斧で辛うじて奴の奇襲攻撃を防いだ──その瞬間。
「グウッッッッ!!??」ハルバードで攻撃を防いだはずのベルガの全身に激しい電流が走る───奴のハルバードをよく見ると、あろうことか電気の火花がバチバチと音を立てている。
「あれはまさか"
*魔法武器
魔法の武器は、より着実に攻撃を命中させ、より多くのダメージを与えられるような強化がなされており、それは武器に込められた魔法の数だけ多種多様な効果と性能を発揮する。あらゆる魔法の武器は、同時に高品質の武器でもあるのだが、更に希少価値の高い珍しい物質や素材などで構成されている事があり、言うまでも無くそれらの品々は想像を絶する高値で取引される──物によっては一つの大都市はおろか国が買えるほどには。
無論、魔法の防具やその他の貴重な装備品、消耗品や芸術品なども星の数ほど存在し、中には忌まわしい呪いを秘めた忌み物も実在する。
「畜生ッ・・・・・痺れて痛てぇし、一撃がさっきよりも確実に重くなっていやがるッ!!!」
再度、奴とベルガが激しい攻防を繰り広げるが──先ほどの戦いに比べてベルガが防戦一方であり、奴の武器に込められた魔法の電流は徐々に、しかし確実にベルガの体力を奪い、消耗させる。
──このままでは押し切られて殺られる!!! 俺は急ぎ手持ちの銀の矢を束ね、奴に向かって斉射する──が、その多くが不快な金属音を立てながら、勢いよく弾かれてしまう──あの化け物、単純な力や速度だけじゃなく外皮の硬度まで増していやがるのかッッ!!?
ヤバい!!このままでは本当にベルガが殺されちまう!!!!──チーム内に焦りと動揺が広まり始める。
「・・・・・・・・クソッ!! 出来る事なら使いたくなかったが仕方がない!!!────余談ならぬ状況と事態を察したウーリは、忌々しげな表情を浮かべると共に何かを覚悟したかの様に、指先で不浄なる魔法陣を描きつつ、声高らかにこう告げた。
『───"我が血に宿る忌むべき
『──ア、アスティルテ・・・!!?? それに"ジャオフェイ"だとッ!!? 貴様のようなエルフ如きが何故、あの忌まわしい
やがて、ウーリの宣言が放たれたと同時に、平原の上空と地面にグルグルと廻り続ける不気味な魔法陣が描かれ始め、それは赤黒く輝く悍ましい光を放出したかと思えば、予期せぬパターンに沿って明滅を繰り返していた。
そして、回転を止めた魔法陣から赤黒い光の柱が昇ったと思えば、周囲に濃厚な死の匂いと死の冷気が漂い始めた──その瞬間、光の中から聳え立つアンデッドのような風貌をしたフィーンドが堂々と姿を現す。
知性と残酷さが入り混じった光を放つ目、干からびた象のような頭部、死体のように蒼ざめ、所々が腐敗または白骨化した肉体を有するこの怪物は、無邪気な子供のように邪悪な笑みを浮かべており、不快な笑い声と奇声を発しながら、ウーリに向かってこう述べた。
『ヒャハハハハハハハハハハハハハハハハハハッッ!!!!!!!! だから言っただろう、ウーリィィィッ!? お前はその身に流れる血の定めからは、一切逃れられないんだよォォォォォッッッ!!!!!!』
────"鬼哭語り"のジャオフェイ。物質界でもその名を知られた、悪名高きグラブレズゥ・デーモンにして、グールと墓地のデーモン・ロードたる"食屍姫・アスティルテ"に仕える強壮なる
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