第19話
「ナミちゃんの手紙で知ったんだけどこんなことになっててびっくりしたよ。対応してくれてありがとうね。」
「ほとんどナミさんがやってくれた感じですけどね。さっきのチャムレットって何ですか?」
「チャムレットっていうのは魔獣に対して使う銃弾のことだよ。」
とマージは色々と教えてくれた。
ナミが体に書いていた文字は
昔ながらのやり方だが、この時に腕や足を噛みちぎられてしまう術者もいるそうだ。
その呪字を銃弾に加工したものをチャムレットと呼ぶそうだ。
チャムレットは五年程前から出てきた新しいもので、術者が傷つかず魔獣を消せるというもので普及してきてはいる。
しかし、一部の術者の中では一方的に傷つけることは非道であるという考えもあるそうだ。
「ナミちゃんは魔獣、神獣第一の考えなんだよね。
術者が傷つけられて、魔獣が消滅するって言うのが彼らに対しての礼儀というか。
師匠がそうだったのもあるんだけど、自分のこともうちょっと大事にしてほしいんだけどね。それぞれのやり方があるからね。」
しょうがないかよね。とマージはため息をついた。
ナミと魔獣たちは盃を交わすと、魔獣は白い煙に代わり月へ登って行った。
残りはグレーだけになっていた。グレーは盃に口をつけず何かナミと話しているようだ。
何か揉めているのだろうか、と見ているとナミは小さな盃にお酒を注ぎなおした。
ナミとグレーはそれぞれ順に盃のお酒を飲み、おでこを合わせた。
「契約してるね。やっと使い魔が見つかったのかな。」
マージは安心したように呟いた。
他の魔獣と対峙することが多い職業や、魔法を使う職業の人が多く魔獣や魔動植物と契約しているらしい。
長い間ふたりはおでこを合わせていたが、ナミはふらつきそのまま倒れた。
地面にぶつかりそうになった時、グレーが人の姿に変わりナミのことを受け止めた。
「ちょっと待ってて。」
とマージはユウとカガに声をかけるとふたりに急いで駆け寄った。
マージはグレーと少し話している。
グレーはナミを抱えたまま、マージは使っていた盃などを集めて戻ってきた。
「やっと話せるな。俺のことはグレって呼んで。」
とほほ笑んだ。人の姿になったグレーは黒髪の似合う青年だった。
「よろしくねー。」「よろしくね、グレ。」
「ね、ナミさんは大丈夫なの?」
ナミはグレの腕の中で寝息を立てている。
「体力使い過ぎて倒れただけだから大丈夫だよ。とりあえず私の部屋で様子見るから、ふたりは寮の部屋で休んで。今回はお疲れ様。」
マージはふたりの頭をクシャっと撫でた。
「またご飯行こうね。」
とマージとグレはナミを連れて部屋に行ってしまった。
「ねえユウ、ぼくらももう寝よう。」
カガは大きく欠伸をした。
「そうだね。」
ユウとカガも部屋に戻って夜を明かした。
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