第20話
後日、マージの部屋での食事会に誘われた。
用事があったので少し遅れて部屋に入ると、ナミとカガ、コノハも来ていた。
既にカガは酔っぱらってうとうとしている。
あの後ウルシイやシャロンがどうなったかの話があるらしく、よく行く酒場ではなく部屋での食事会にしたそうだ。
ウルシイは気が狂い、実家近くの病院に入院しているそうだ。
医者の話もとに戻る可能性は限りなく低いらしい。
シャロンは一度退寮の処置になった。
しかし、それを提案したのがウルシイだったようで処置が見直され停学の処置に変更になったそうだ。
「ユウちゃん、今月のお給料確認した?」
「結構な金額入ってました。間違いでした?」
「いやー、口止め料だと思うな。」
とコノハは笑う。
コノハとマージはウルシイの仕事までやらなければいけなくなったようでとても忙しくしている。
特にマージは神獣の観察をしにいけないと嘆いている。
「ナミちゃんが、ユウちゃんみたいに来てくれればなぁ。」
とマージはちらっとナミを見る。
「いやー私は無理ですよ。」
ナミは苦笑いする。
「ナミさん弟子は考えてないの?」
「うーん。今はないかなぁ。」
「でも、ナミちゃんはラオシュさんと同じタイプな気がするな。」
「師匠とですか?」
「うん。突然弟子連れてきそうな感じするんだよね。」
「わかるなぁ、それ。」
とコノハはマージに同意する。
しばらくしてコノハは外の風に当たってくると席を外した。
「そういえばナミちゃん今日グレは居る?」
ナミが答える前にグレがフッと現れた。
「なんだ?」
グレはナミと契約したときに姿が変わった。
爪と歯は鋭く、虹彩は薄青、右目は
見た目ではわからないが、頭には小さい角が二本生えているらしい。
「この前ちゃんと見れなかったからぜひ観察を。」
とマージは目を輝かせている。
グレは出てくるんじゃなかったと、後悔しているような顔をしている。
「私は良いですけど、お酒は言ってないときのほうが」
言い終わらないうちにマージはグレのことを追いかけまわしている。
これはマージが満足するまで終わらないやつだ。
「ほっといていいのあれ。」
一応ナミに聞くが、肩をすくめるだけで止める気はなさそうだ。
そうこうしている間にコノハが戻ってきた。
「そういえばふたりともあの後体調大丈夫だった?」
「特にあの後は何も。」
「私も大丈夫でしたよ。」
とふたりは答える。
「それならよかった。」
コノハは言うが、今はコノハのほうが体調が悪そうに見える。
「そういえば、ナミちゃんなんでウルシイ先生がマージ先生に手紙送ってないってわかったの?」
「あー、コノハ先生もですけどマージ先生も生徒第一って感じじゃないですか。
なので生徒が怪我してるっ聞いて戻ってこないはずないなって思って。それに、」
とマージとグレに視線を移す。
グレはマージから逃げるのを諦めて口の中を観察させている。
「魔獣類が見えない家系なのに、あんだけ魔獣好きなら」
「確かに戻ってくるよなぁ。」
とコノハはフフッと笑う。
観察が一通り終わったようでふたりが戻ってきた。
グレはしょぼんとした様子でナミの膝に頭を乗せる。
グレは頭を撫でてもらって尻尾を振っている。
その様子を見て魔獣でも犬なんだなと思う。
「ナミちゃん、グレと本契約まだだよね?」
「なんだかんだまだ、ちゃんと結んでないですね。」
「契約したら何か変化あるかまた見せて!」
「絶対いやだ。」
グレがナミが答えるより先に口を出す。
「私は別にいいんですけどね。」
ナミが悪戯っぽく答えると、グレの尻尾はまたしょぼんと下がってしまった。
友人は半分が人外です 猫家 凪 @umeuguisu
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。友人は半分が人外ですの最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます