第3話
「パスタゆで始めていい?」「いいよ。そろそろソースもできるから。」
鶏のから揚げをつまみながら2人は料理をどんどん作り始める。軽く20人前くらいはあるだろうか。
マカロニサラダにグラタン、ハンバーグにミートソースパスタなどお子様ランチのようなメニューが並んでいる。
ローストチキンがそろそろできそうな時バタバタと騒がしい足音がキッチンに近づいてきた。
「「ひさしぶりー!」」
フェアリー族のリュサと人狼族のカガがやってきた。
「ひさしぶ「これ食べていい?」
ユウが返事をする前にカガは唐揚げを口に放り込んだ。
「ずるいリューも食べる!」
とリュサも唐揚げに手を伸ばす。
「はいはい。それ持ってっていいからあっち行ってて。」
ナミが呆れたように2人を大広間に追いやった。
「唐揚げ食べといて正解だったね。」
戻ってきたナミに声をかけると、「本当に。」と呟いた。
何分も経たないうちにリュサがキッチンに梅酒の便を瓶をもって走ってきた。
「これ飲んでもいいの?」
「いいよー。これ使って。」
ユウは新しいお玉をリュサに渡した。
「やったー」と大広間に走っていった。
今年の夏から漬けていた梅酒を持ってきた。
少し飲み頃には早いかもしれないが、いくら酒豪が2人いても10リットルもあればさすがに飲み切らないだろう。
大広間の大きいテーブルはあっという間に料理で埋め尽くされた。
全ての料理が並ぶとリリナの合図でみんながグラスを掲げた。
リュサとカガは片っ端から皿を空けている。
このペースで食べられるとクリスマスケーキもすべて食べられてしまいそうだと思いユウは先にケーキを切り分けた。
「ケーキ貰っていいかしら?」
とリリナはユウからケーキを受け取る。
リリナは小食なのに沢山食べたいものをリクエストしては、それぞれひと口ずつしか手を付けていない。
残してても全部食べてくれる人たちがいるので問題ないのだ。
リリナはクリスマスケーキを口に入れ満足げな顔をしている。
梅酒も甘酸っぱく美味しく漬けることができていた。来年は何の果実酒を漬けようかなー。と酔ってぼんやりする頭で考えていた。
「ねーユゥー。この瓶の実も食べていいのー?」
リュサは酔っているのかへらへらした様子で聞いてきた。梅酒はもうほとんど残っていない。
カガはもう梅の実を食べ始めている。ユウはサーッと酔いが醒めるのが分かった。
「えー。もう全部飲んだの?実は食べてもいいけど。」
「まだ2杯しか飲んでないのに。」とユウはグラスに残った梅酒を見つめた。
あんなにあったのにほとんど2人で飲み切ってしまったようだった。
「次は分けて持ってきた方がよさそうだね。」
とナミは隣で笑った。
リュサとカガが料理も梅の実もすっかり食べて眠ってしまったころ、ナミはケーキを食べながらリリカに今回の依頼についての話をしていた。ユウはそれを聞きながら空いたお皿を下げて片づける。
リリナはこの古城で小説を書いて生計を立ていて、こうやって食事会のたびにナミの仕事について話を聞いている。
きっと次回作のネタにしているのだろう。
時々相槌を打ちながら、リリナは興味あるのかないのか分からないような態度で聞いている。
かなりの売れっ子らしいがペンネームは教えてもらえなかった。ただ、今の人は3人目だとリリナは言っていた。
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