初めての頭ポンポン
その日は天候が乱高下して、何と夕方、大雨ののち、雹(ヒョウ)が降った。
大きいものだとピンポン玉くらいの氷のカタマリが落ちてきてガンガンと音を立てる。
私は家の窓からそれを見ていたが、外でこれに当たってしまった人は痛いだろうというのと、車の天井が傷つくのでは…(※作者は車は持ってないけど、自動車ライターをやっております)という心配。
しかし、すっかり雨も上がって夕方、出かけてみると街はごく普通。
よく、夏なのに雹が…という話は聞くけど、実際に目の当たりにしたことがなかった私は、一生に一度の体験だ!…と大層驚いたのに、意外とみんなフツーなのね。
そして、駅前の、コンビニの前。
ここはいつも、いわゆる「路上飲み」が盛んな場所。
地下鉄の出入口があって、コンビニがあって、ベンチがあって、まあ朝から晩まで人がいる。
この時は、雹と大雨の直後なわけで、ベンチはびしょびしょなんだけど…しかしそれも気にせず座っている人がいた。
…そのベンチは、ベンチといっても単なる長椅子。背もたれはなくて、座ってる後ろ姿が見える。
そのびしょびしょの椅子には、半袖白Yシャツのサラリーマンらしき男性二人が並んで座っていた。
もちろん私の
後ろから近づく私。
そんな視線に気づくはずもない二人。
仮に左をA君、右をB君とする。
右のB君が前かがみになってうなだれていて、どうやら、B君が落ち込んでいて、A君が聞き役になっている感じ。
その後ろ姿に萌えながら近づく私。
A君が、ちょっと覗き込むように、B君にあわせて少し頭をかがめる。
そしてその右手が、B君の背中にまわって…。
えっ、なに、背中をさする?それとも肩をぽんと叩く?
しかしA君の右手は、もう少し、上までいって…。
ええっ、何これ、まさか、これって幻の…
「頭ポンポン」ってやつじゃあないですかね!?!?
うわ、ふわっと、触れた。優しい…。
一生で初めて見た雹よりも、輝かしい、初めて見た「頭ポンポン」…!!
さっきよりさらにうなだれるB君は、A君の頭ポンポンをおとなしく受け入れていて、それから二人はちょっと笑って、B君は頭ポンポンされながら何度かうなずいて、「ありがと、俺、頑張る…!」みたいな雰囲気。
私はもう、何なの、こういうのって実在してるの?本当に起こることなの?と思いつつ、顔がにやけながら彼らを追い越した。
こういう時、本当にマスクは便利ですね。
リーマンBLを書いている身としては、この頭ポンポンは非常に眼福でした。
ちなみに、これを見た直前に撮った、雹のあとの変な天気の夕焼けの写真を近況にアップしているので、よろしければ。(写真の左下の夕焼けのやつです)
近況「新作エッセイを公開しましたー」
https://kakuyomu.jp/users/atomik/news/16816700426221928974
こんな景色の中で行われていた頭ポンポン、尊いです…。
あ、それから、後から気づいたけど、濡れたベンチに座ってた二人。
二人そろって、スーツの尻が濡れたまま帰るのね。内側までしっとり湿って、これから直帰だったらどちらかの家に寄ったりして…きゃっ(この作品はレーティング「性描写あり」ではございませんので、続きは各自妄想にて補完ください笑)
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