男の娘妄想

またまたお久しぶりです、そしてまたまたスタバでの話です。

仕入れ先がいつも同じだね、まあ仕方ない。


イマドキ風の女の子二人が、ソファの横並び席の、一人分が推奨のところを二人でぎゅって座って、ひとつのテーブルにスマホや充電器やコスメのかわいい容器(?←私が無知なのでわからん)などを置いて、きゃっきゃ言っている。


ひと昔前ならダサいと言われる大きめの黒縁眼鏡で、部屋着みたいなジャージぽいズボン、トップス(っていうのか?)はちょうちん袖(古いか?)ばかりが大きくてヘンテコに見える。


ま、それはいい。


とにかくその二人はとても仲が良く、ずーっとくっついて互いに自分のスマホを見たり、どちらかのスマホを見たりしながら密着して過ごしている。


便宜的に、ちょうちん袖の子をAちゃん、少し背の高い子をBちゃんとしよう。


AちゃんはBちゃんの肩にもたれかかって寝てみたり、そんな様子をBちゃんはこっそり自撮りしたり。時に、話しながら、Bちゃんのお腹に手をまわし、ぽんぽんしたり。


そして私は考える。


もしこれが、男の娘同士だったら…。


中学生くらいで、まだ背も伸びてなくて「ボーイッシュな女の子」でも通じるくらいの体格の二人。

両片想い!

二人ともカワイイものとかが好きで、何となく気が合うけど…。

そんな時、ふざけて、「男の娘のカッコしてショップとかまわろう」みたいなことになり…。


いざ、やってみたら、思いのほか、イイ感じになったふたり!

もちろん誰にも気づかれないし、むしろ、ちょっとくらい騒いだ方が「うるさい女の子たちだなあ!」みたいな感じで、逆に目立たなかったり。

そんなこんなで、普段、姉や妹と一緒じゃないと入りづらい店でたくさん買い物が出来て、コスプレのようなことをしててもバレてなくて、刺激と解放感で変に気持ちが盛り上がってしまう!


で、夜になり、帰りにカフェに寄る。

テーブルに戦利品を広げて、写真を撮って、ついでに「カワイイ」自分たちを自撮り。

どこにもアップできない写真。

楽しくて、そして、ドキドキして。

腕を絡めてみたり、肩にもたれて寝てみたり。

今は「女の子同士」なんだから、このくらいで普通、このくらいで自然。

そう、相手もそう思ってる。だからこんなに触れ合っても何も言われない、拒否されない…。


もうすぐ、言ってしまいそう、「ねえ、大好き」って。


それを言わないために、「めっちゃウケる!」「これすっごいカワイイ!」を連発して、ぎゅっと手を繋いでやり過ごす。


「…はあ」


頭をもたれさせ、互いのキャップにつけた缶バッジがカチャンと鳴る。

キャップの下のウィッグの髪が混じり合う。


すっと腰にまわされた手が、腹をぽんぽんとさすった。


何だよ、俺が腹の中で考えてること、わかってるはずないのに。

お前が好きなんて言えないのに、溜め息しか出ない。



「…ね、また、これやらない?」

「…くくっ、やっちゃう?」



ああ、でも。

まだ、夏休みは始まったばっかり。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

街のBLこぼれ話(エッセイ) あとみく @atomik

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ