ベビーカー日和

 ある祝日の昼下がり。

 私は生理痛持ちで、油断して薬を切らしてしまい、頭痛のする頭と今日締め切りの記事を抱えながら薬局へとフラフラ歩いていた。(※フリーライターで糊口をしのいでおります)


 そんな中、キラキラとした皆様方は、1000円くらいするケーキのお店に並んだり、輸入雑貨の店を見たり。ああ、よろしいですね、素敵ですね…。


 …と、目に入ったのは、そこそこ若い、服のブラック率が高いお兄さんたち三人組。

「…でさ、俺んちの風呂がまたやばくてさ…」

「え、なに、どーなったわけ?」

 道路の脇で、立ち話。

 …いったい何の会話だかは分からないけど、まあ、知人や同僚よりももっと親しい感じ。

 しかし、会話の内容よりも目がいくのは、その、三人が立っている真ん中にある、三人の格好とはいまいち不釣り合いな物体…ベビーカー。

 といっても、お子様は乗っておらず、何か別の荷物が乗っている。


 …どういう状況!?

 三人組のうちの一人がパパであり、しかし肝心の子どもはどこか別のところにいて、そしてパパは親しい友人二人と道端でくっちゃべっている…。


 何か、大体、仲がいい友人であっても、結婚、そして子どもができるのを機に、やっぱり話題も合わないし、会う時間帯とかも気を遣うし、疎遠になってしまうもの。

 この三人、もしかしてパパ友(?)とかなのかもしれないけど、どっちにしても、一人はパパであり、そのうち嫁に呼び出されたりおむつを替えたり待ち受け画面は我が子のドアップだったりするかもしれない存在…なのに、楽しく喋っているのよね。


 うんうん、いいと思う。

 あと、ちょっと「パパBL」もいいかなとか思っちゃった!(笑)(あ、あくまで不倫未満のほのかなやつ…)




 そして。

 この、ベビーカー三人組を見て、この妄想をしてから、一分と経たないうちに、なんと二組目を発見!!


 お次は、ちょっとガタイのいい、三十代くらいの男性二人。

 こっちは、一人ひとつのベビーカー。

 ただし、乗っているのは…ワンちゃん!!

 最近よくありますよね、犬用のベビーカー(ドッグカー??)。

 これが、黄緑とピンクの可愛らしいお揃いのベビーカーで…、…って、お揃い!?


 仮に黄緑のをA氏、ピンクのをB氏とする。(いつもは君付けだけど、今回は君付けするには大人なので…)

 ピンクのに乗ったミニチュアダックスに、「はいはい、お水だよ、お水飲む?お水飲もうね~~!!」と、やや赤ちゃん言葉なB氏(笑)。何か、ベビーカー乗りながらでも飲めるような、スポイト的?水飲みアイテムを誇らしげに持っている。

 うーん、もしかしたら、ちょっとはしゃいでいる感じからして、A氏がペット二匹のオーナーであり、B氏は単なるお友達かもしれない。それならお揃いの理由もわかるし。


 でも…(深読みコーナー開始)。


 もしワンちゃん二匹がA氏のペットであるなら、B氏は、「A:ちょっとランチでもどう?」「B:ああ、いいよ」「A:俺のワンちゃんも一緒ね」「B:マジで?」という会話をして最終的に了承し、そしてランチを終えたらすっかりワンちゃんに夢中になってしまい、「あ、俺が水飲ませたい!それ貸して!やってみたい!」となって赤ちゃん言葉を惜しげもなくA氏に見せ、A氏もそれで「微笑ましいな…(よし、来週もこれだ)」と思っている…ということになる。


 それから、もしそれぞれがワンちゃんのオーナーだった場合。

 たぶんA氏あるいはA氏の妻がこういったワンちゃんグッズが好きで、それで同じく犬を飼っているB氏あるいはB氏の妻(家族ぐるみの付き合い)がそれに反応し、グッズを紹介したり通販で同じものを買ったりするような仲になったのではないか。

 そして私の偏見から言うと、こういうのは女性の方がハマりやすくマメで、そして情報共有が盛んなので、妻同士のやり取りからこのようなお揃いグッズとなった可能性はあると思う。


 …妻同士が仲良しで、結果として、何だかんだと、夫同士も仲良し…。


 普通なら知らないような相手のプライベートなことも妻を通してどんどん耳に入って、「アイツ、そんなの好きだったのか」とか「え、ダイエット始めた?タバコやめた?」みたいなことも自然に知ってしまい、「…そういやアイツどうしてるかな」みたいに思うことも増えて…


 それに、妻の方としても、夫に知らない友人と遊ばれるよりも、自分の友達のダンナと遊んでてもらった方が安心だし(妻同士のやり取りにより、情報は筒抜けである)、ついでに休日にワンちゃんの面倒も見てくれればこんなにいいことはなくて、むしろ夫二人をくっつけたい気持ちになって、やがては妻同士が腐女子仲間となって夫同士のイチャイチャを見守るという事態に発展…!!!(夢ですね…!!)



 …と、つい長くなってしまった!

 今回はA君B君のイチャイチャシーンではなく、ちょっと大人な感じになりましたが、それもまた妄想のし甲斐があるというものです。

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