自動販売機

九月に入り、東京は雨続きの涼しい日々。

もう秋の気配がする。いつもなら、まだまだ残暑が厳しいのに。


何か、九月に入って軒並み最低気温が20度を下回っていて、それって100年ぶりくらいのことらしい。今年は本当に、暑い日は暑かったけど、でもやっぱり全体的にそれほど夏らしくなかった気がするなあ。アイスも全然食べてないし…。



そんな曇り空の、お昼時。

大通りを歩くと、待ち構えている美容師さんたちに「ちょっとすみません…」と声をかけられてしまうため(決して美人だからとかじゃなく、染めてなくてボサボサだからよ!「切り甲斐があるな」ってことですよ)、私はいつも、大通りから一本入った路地裏をくねくねと通っている。


人もややまばらな路地。

そこの自動販売機の前に、二人の若い男性。

一人ずつ、飲み物を買っている。


格好からして、近くの工事現場の兄ちゃんとかではなく、買い物やランチに訪れたであろうふつうの若者。


名付けるほどのエピソードでもないんだけど、仮に左をAくん、右をBくんとする。


先に買ったのは右のBくん。

取り出している飲み物は、小さめの缶。

私も好きな、水色の、ナタデココヨーグルトの飲み物だ。


続いてすぐAくんもボタンを押す。

ここで私、通り過ぎてしまい、何の飲み物かは確認できず。でもペットボトルじゃなく缶だったと思うので、もしかしてお揃いかも。


二人とも、何か、笑いながら、すぐに缶を開けている。

「おいおい何だこのシチュエーション、ウケるな」って感じの、ツッコミっぽい笑い。


少し離れてから振り向いてみたけど、自販機の前に立ったまま、二人は飲み物を飲んでいた。



…深読みリポート開始。



時間はお昼の十二時ちょっと前。

炎天下の午後なら、そりゃ、歩いてるうちに暑くて喉が渇いて、自販機でジュースくらい買うだろう。

でも、曇りで全然暑くもなくて、しかもお昼前。


…これからランチじゃないの?

それなのに自販機でナタデココ一気飲み??


このナタデココドリンク、四角い、噛み応えのあるナタデココがいっぱい入っていて、280g。小さい缶といえど、わりとお腹に溜まる。


しかも、ちょっと飲み物片手にぶらぶら歩くんじゃなく、何で突っ立ってその場で飲み干すんだ??


つまり…


何らかの事情で二人ともお財布を忘れてランチに行けないとか(そんなことあるか?)、そんなこんなで、ポケットの小銭くらいしかなくて、ランチの代わりになるものといえば、このナタデココドリンクくらいだった…!?


うーん、大学のキャンパスなら、学食閉まってたー!とか金がないー!とかもありそーだけどね。


しかし、私ももう数年、スマホ決済で何でも済ませていて、現金というものをほとんど持ち歩いていない。

だからスマホがフリーズしたり、決済アプリが止まってしまうと、何もできない!

そんな時、ツイッターとかを見るとみんなも、Suicaだけ使えた!とか、急いでその店のアプリDLしてそれで支払ったとか、慌ててたりする。



まあ、今回のAくんBくんがどうだったかは分からないけど、何か「俺たち何してんだよ!」みたいに笑ってる雰囲気だったから、そんなようなことで、仕方なく二人で「ナタデココ・突っ立ったまま・ランチ」をしてたんだとしたら、かわいいなあ、と…。




以上、ほんのりレポートでした!!

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