祖父と孫と異世界
今回はちょっと、BLウォッチングとは違うけれども、微笑ましいエピソードを。
しばらく前、東京駅八重洲地下街に新オープンしたスシローへ行った。
スシローに限らず、最近の回転寿司はいろいろ楽しいし人気で、すごく混んでいる。
その日も店の周辺に、整理券を持って番号の呼び出しを待つ人が十人以上いた。
その中に、学ランを着た中3くらいの少年と、祖父とおぼしき初老の男性。
何となく違和感だったのは、その日は日曜なのに制服…少年は部活帰りだろうか。
そして、ここは東京駅。祖父が上京してきたところ?だとすれば祖母や父母なども合流するのかとも思ったが、誰も来る様子はなく、少年と祖父は二人で壁際に立ったまま順番を待っていた。
最初は、祖父と二人きりなんて気詰まりだったり、話題がないんじゃないかと勝手に心配したが…どうやら微笑ましく話している様子。
少年が学校での出来事などを語っているようで、祖父はにこやかにうなずいている。
それから順番がきて、ようやく店内へ。
少年と祖父が私の近くのカウンター席に座ったので、少しだけ会話が漏れ聞こえてきた。
お寿司を食べながら、押し黙ることもなくさっきと同様会話は続いている。
どんなことを話しているのかと耳を傾けてみると…。(以下意訳や補完を含む)
祖父「最近はどんなものが好きなの?」
少年「んー、やっぱり異世界モノだよね」
祖父「異世界?」
お、おう、少年よ、そりゃあ異世界モノは人気だけど、祖父にそう言って通じるのか?
少年「そうそう、異世界に転生するの。異世界の誰かに生まれ変わる『異世界転生』と、自分のままで移行する『異世界転移』っていう二種類があって」
祖父「ほうほう…」
お、おじいちゃん、ついていけてるのか??
少年「オレは異世界転生の方が好きだけどね、学校のクラスごとみんなで転移するのとかもあるよ」
祖父「なるほど…」
少年「おじいちゃんはどっちがいい?」
祖父「うーん…」
が、頑張れおじいちゃん!
いや、もうちょっと話題の難易度を下げよう少年よ!
…などとヤキモキしてしまったが…。
祖父「じいちゃんも若い頃…どっか別の世界に行って、そこでヒーローになったり、冒険をするっていうようなSF小説が好きでな。たぶんそういうのに近いように思う。確か…別世界?」
少年「異世界ね」
祖父「ああ異世界。その異世界に行くだけじゃなく、時間が繰り返すようなのもあって」
少年「あ、タイムループね!それもすごいある。え、じいちゃんが読んでたのってどんなの?」
祖父「うん、主人公が…(SFっぽいあらすじを語り、少年は相槌を打つ)…」
少年「え、それすげー面白い!そっか、昔からSFではそーいうのあったんだ。そっちが元祖だね。ハシリだね」
祖父「いやいや、もっと古いのに源流はあったと思うよ。でもそうか、今異世界が流行ってるのか」
少年「すげー流行ってるよ、友達もみんな読んでる。でもじいちゃんが話したのの方がむしろ斬新で面白いよ!」
祖父「うん、まあこういう、ヒーローが異世界に行って冒険するようなのは、ま、パターンとして軸は同じなんだろうな」
少年「ああ、そうかもねえ。…で、じいちゃんは転生と転移どっちがいい?」
祖父「んー、転生だね」
少年「おっ、オレと同じ~!」
…あ、ああ、おじいさまお見それしましたっ!!
いや、っていうか二人とも、別の世代と話す時のコミュニケーション能力が高い!!
「じいさんだから異世界なんてわからないだろうな」とか「ワシが読んだ昔の本の方がよっぽど面白いわい」なーんて決めつけや説教くささもなく、フランクに異世界論を語れるのってすごいと思う!!
(ここから妄想)
こんなにコミュ能力高かったらさ、きっと友達ともすごくいい関係を築けたり、信頼されたりしてるよ。少年はきっと異世界モノのラノベを貸し借りしてる友達から好かれてるだろうし(もちろん深い意味で!!)、祖父も祖父で長い付き合いの友達がいるはず!
それでさ、それぞれ友達に「そういえば異世界って、~~だってね」みたいな話をして、その友達が「クッ、何だか、俺以外にも面白い話をする相手がいるらしいな。匂わせやがって、悔しい~~!」みたいに思えばいいと思うの。じぃさんずらぶと少年ずらぶ(あ、ボーイズラブか)が並行するのよ!(え、何の萌え??)
うふふふ、友達よ、その相手はじいさん/孫だから遠慮なくアタックしたまえ!!(そこ??)
(妄想ここまで)
というわけで、とっても微笑ましい光景でした(*´ω`*)
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