第15話 裕太郎の学校に来た美玖と恋で廻る世界
全く美玖の野郎は.....。
いや。確かに俺も虹色さんには何だよ、と思ったけど。
考えながら俺は.....4時限目を受けてから。
何時もの通りに弥太郎と美穂と飯を食う為に席を寄せていた。
すると。
「先輩♪」
「.....うわ!?何だよお前!!!!?」
いきなり教室のドア付近に美少女が現れた。
そして俺に手を振って笑顔を見せている。
それから教室に、しっつれいしまーす!、と笑顔で入って来た。
そしてこの事によって教室が凍りつく。
何故かといえば、何アイツ.....また女?美少女?、と。
童貞どもが凍りついていたのだ。
女子は、きゃー、とか言って顔を見合わせている。
「な、何だよお前.....何しに来たんだよ!?」
「勿論、お弁当を届けに来ましたよ。先輩に」
「ハァ!?お弁当.....え!?」
これに対して教室の野蛮な奴らが、ハァ!?、と顔を怒りに染めて歪める。
バールとか野球バットとか用意し始めた。
オイ!?消化器とか.....どっから出てきた!!!!?
女子達は、きゃー!きゃー!、と言っている。
俺は青ざめながら.....如月を見ていると。
すると、如月ちゃん。一緒に食べるかな?、と美穂が優しく言ってくれた。
助かったぞ美穂!
「はい。勿論です。先輩方と一緒に食べる為に来ました」
「有難いんだけど.....全くな」
そんな事を呟いていると。
教室のドアがガラッと開いた。
また誰か入って来た様だが.....多分クラスメイトだろう。
その様に考えながら居たのだが。
な。何だこの美少女!?、と声がした。
そして四角い眼鏡の美少女.....!?、とも、だ。
絶世だけどこんな美少女この学校に居たっけ?、とも。
え?、と考えながら背後を見ると。
「.....」
「.....」
何故かしらないが。
そこに.....何か何か見た事もない制服姿で美玖が立っていた。
俺をハイライトを消した目で見ている。
あまりの驚愕に目が飛び出そうになった。
コイツ何してんだァ!!!!!
本気で愕然としながら俺はガタンと椅子を鳴らして立ち上がる。
マジかこの馬鹿!!!!?
クラスのみんなも。
俺の仲間もみんな目を丸くする。
「お兄ちゃん.....このクラスだったんだね。アハハ」
「ちょ、ちょっと待って。本格的にお前何してんだ!ここは高校だぞ!?ってかよく入れたな!?」
「校門の先生をそれなりに誘惑したら入れた。.....それにだって私だって学校に行ってみたいし。アハッ」
「この学校のセキュリティってどうなってんの!?」
え!?マジにセキュリティってどうなってんの!?
考えながら俺は青ざめる。
すると俺の肩を誰かが掴んできた。
それから俺は背後を見る。
そこには.....嫉妬に苛立ちを募らせたクラスメイトが.....バールを持っていた。
「オウ。誰だその子。何でお前だけ美少女に恋されてんの?殺すぞ」
「そうだな。ってかもう殺して良いんじゃないかと思う」
「右腕が疼くぜ。俺の全ての」
「そうだなぁ.....穴に埋めるか」
落ち着け馬鹿ども。
青ざめて考えつつ俺は美玖を見ていると。
如月が、美玖さん。此処に居たら駄目だと思います、と言った。
それから.....美玖を見る如月。
「そうだよぉ。駄目だよ美玖ちゃん.....」
「まあまあ良いんじゃない?楽しいじゃん。アハハ」
弥太郎が、ハハハ、と笑う。
そして慌てる美穂。
しかしまさか美玖が来るとは思わなかった。
思いつつ俺は美玖を見る。
だが美玖の顔はかなり疲れている様に見える。
「いやつうか無理すんなよお前.....顔が青ざめてんぞ」
「.....そんな事ないもん。大丈夫だもん」
「.....ったく」
俺は額に手を添えながら美玖を見る。
そして見ていると美玖はハッとしてニヤッとした。
それから唇を差し出してくる。
何だよオイ。
「キスしてくれたら治るかも」
「.....!?.....へ?」
「「「「「ハァ!!!!?ぶっ殺すぞ!!!!!」」」」」
クラスメイトがマジにキレた。
女子生徒は、キャー!、と反応する。
如月と.....何故か美穂まで反応した。
俺は真っ赤に赤面しながら、お前何言ってんだよ!!!!?この場所で!、と呆れて絶句する。
それから美玖は俺に迫って来た。
「冗談じゃない!アホか!」
「私は冗談のつもりは無いしね.....」
あ、いかん。
美玖の目がマジだわこれ。
考えながら俺は慌てて逃げる。
そして逃走した。
もう教室には暫く戻れない気がする.....。
☆
そして逃走して来てから俺は中庭で空を見上げていた。
それからボーッと見つめる。
全く困ったもんだな、と思いつつ俺は頭を掻いた。
それから目の前を見る。
この学校は目の前に山が見える。
そんな学校であるが。
そうしていると、おー。此処に居たか、と弥太郎がやって来た。
笑みを浮かべながら飲み物を2本持って、だ。
そして弥太郎は片方を俺に渡してきた。
有名な乳酸菌飲料だ。
俺は、サンキュー、と言いながら受け取る。
「.....にしてもお前も大変だな。ハッハッハ」
「割とマジにな」
「.....お前が羨ましいぜ。色々な女の子にモテるんだからな。アッハッハ」
「おいおい。全く良くないぜ。俺は。.....学校まで義妹が来ると思ってなかったし」
まあそうだな。
でも俺は本気でお前が羨ましいよ、と俺に少しだけ悲しげに向く。
俺は見開いてから.....その顔にうっかり聞いてしまった。
それを、だ。
「お前ってもしかしてさ。.....美穂が好きなのか?」
「.....バレちまったか。.....隠していたんだけどな」
「.....分かるさ。お前と何年間一緒だと思ってんだよ。幼馴染なんだぞ」
「.....そうか.....」
弥太郎は寂しげに俺の横に腰掛けてから空を見上げる。
そして.....真正面を見た。
俺はその様子に少しだけ眉を顰めながら.....同じ様に目の前を見る。
すると弥太郎はこう言った。
「俺さ。.....告白しようと思ってる。美穂に」
「.....そうなんだな」
「.....でもな。.....俺は負ける。.....何でかって?美穂は多分、お前を好いているからな」
「.....はぁ!?.....え!?」
俺は驚愕に声が掠れてしまった。
弥太郎はニヤニヤする。
お前って今の今まで知らんやったんか?、と、だ。
全然知らない!!!!!
ちょっと待てマジかそれ!?
「.....だから負けるんだ。俺はな。.....だから俺はお前に頼みがある」
「.....?.....何を.....」
「俺の告白が失敗したら代わりに.....美穂がどうあっても守ってほしいんだ。.....頼むぜ。俺が本気で惚れた女の子だから」
「.....お前.....」
俺は静かに見開く。
そして弥太郎は、まあ俺も守るけど.....好きな人に守られた方が良いと思うしな、と笑顔を浮かべた。
相変わらずの格好の良いキザな感じのだけど少しだけ悲しそうな感じで、だ。
俺は見開きながらも.....頷いた。
「.....でもな.....相変わらずだな。お前」
「.....何がだ?」
「.....お前が自分は最低だと何時も卑下するのが、だ。まるでその.....自嘲する様な。お前さ.....それは過去の件もあるんだろうけど。人を上げまくって自分は落とす。もう良い加減にやめろ。何時迄もそれで貫き通せると思うなよ」
「.....自嘲はしてないと思うが.....まあ受け止めるよ。有難うな」
多分俺達の中で.....最も悲しい過去を持つのは.....コイツだ。
弥太郎なのだ。
だから俺は.....お前も心の底から守りたいと。
そう告げる。
それから俺達は暫く2人で空を見上げていた。
「優しいな.....お前」
「お前の親友だから当然だろ」
「あったりまえってか。.....有難うな。裕太郎」
「.....おう。弥太郎」
そして俺達は笑い合う。
それから俺はふと思い出した。
ヤバい。マジに殺意と混沌が入り混じった教室にどう戻ろう、と、だ。
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