裕太郎の計画
6 俺、お前が好きなんだろうな
俺は絶望的になっていたが。
目の前に.....理保さんが現れてから狂いそうになっていた頭が治った。
そんな理保さんと共に美玖を見る。
美玖は.....静かに眠っている。
「.....眠り姫みたいですね」
「.....そうだな」
「信じられないです。.....まさか美玖ちゃんに限って.....そんな事って」
「.....だけど俺は理保さん。君が来てくれて狂わなくて済んだ。有難うな」
「私が変わってあげたいです」
理保さんはそう言いながら.....唇を噛む。
俺はその姿に.....目の前の美玖を見ながら額に手を添える。
どうすれば良いのだろうな。
この先、だ。
考えながら俺は美玖を見る。
「.....私は馬鹿ですね。もうちょっと関わっておけばこんな事にならないで.....良かったかもしれません。1年前なら尚更です」
「.....君がどうこう出来る問題じゃない。.....俺が悪いんだよ」
「.....後悔しかないです。本当に。悔しいです」
「理保さん。そう思ってくれるだけ幸せだよ。美玖は」
「.....そうなんですかね.....」
理保さんは涙を浮かべる。
そして涙を流した。
静かに、だ。
俺はその姿に.....眉を顰める。
それから.....美玖を見た。
「.....どうしたら良いんだろうな。俺は」
「.....私、美玖ちゃんを支えたいです」
「.....そう言ってくれるんだなお前」
「当たり前です。私は.....美玖ちゃんの友人と思っていますから」
俺はその言葉に涙が浮かんでくる。
そうしていると.....美玖が目を開いた。
それから.....俺を見てくる。
そして目を丸くする。
「.....何でこの女が.....」
「お前の為に来てくれたんだよ。美玖」
「.....そんなの必要無いのに」
「そう言うな」
「.....」
私のこんな情けない姿を見せるのが嫌なのに。
と美玖は眉を顰めながら俺を見てくる。
俺は、まあ確かにな、と苦笑する。
すると美玖は横に居る理保さんを見た。
そしてこう告げる。
「席を外してくれない?」
「.....俺に話か?」
「そう。.....理保だっけ。席を外して」
「.....分かりました。美玖ちゃんが言うなら」
そして理保さんは静かに立ち上がってニコッとしながら直ぐに席を外す。
病室を出て行った。
それから俺を見てくる美玖。
何の話だ?、と思っていると。
こう話してきた。
「私ね。お兄ちゃんが好きだけど.....諦める」
「.....諦めるってのは?」
「私はお兄ちゃんを不幸にするから.....お兄ちゃんの恋を応援する」
「.....そういう意味か」
「.....?」
言うと思った。
俺は考えながら.....目の前の窓を見つめる。
そう言うと思ったのだ。
だから俺は.....みんなに話している。
何をっていえば簡単だ。
それだ。
「.....俺は美玖。お前を捨てるつもりはない」
「.....?.....いきなり何」
「.....だから言葉通りの意味だよ。.....俺な。美玖。お前を一生愛そうと思う」
「.....え.....」
「如月にも。.....みんなに既に話した。この事は」
美玖はゆっくり涙を浮かべる。
ちょっ、ちょっと待って。
それって冗談だよね、と、だ。
こんなボロボロの女の子を愛すって。
馬鹿なんじゃないの、と、だ。
妊娠も出来ないかもよ、と。
「.....そんな事は関係無いな。正直な。俺はお前が白血病って告白してからずっと考えてた。だから.....な」
「.....意味分からない。私を愛すって。それ駄目だよ。絶対に駄目。私はエッチだけど駄目」
「.....お前は確かにエッチだ。だけど.....そんな事は置いて俺はお前を守ると誓った。だから生涯、守るって決めたんだ」
「.....意味が.....」
「.....意味分からせてやろうか?」
え、と言う美玖の唇を塞いだ。
それは所謂、キスというやつである。
兄妹でこんなのとか本気で近親相姦とかそういう批判もあるかもしれないけど。
でも俺は多分、美玖が好きだ。
だから障害があろうが何だろうが。
関係無いと思っている。
「.....おに.....」
「.....美玖。俺は多分お前が好きだ。俺は」
「.....」
「.....良いのって言いたげな顔だな。泣きべそになっているぞ」
「.....当たり前でしょ。私は子供も産めない。.....そんなの」
でも俺はお前が好きだからな。
それは間違いない気がするんだよ。
と笑顔で俺は美玖を見た。
美玖は涙を浮かべてから、ううう、と声を発する。
それから.....泣き始めた。
「.....ずっと思ってたんだよな。俺。.....美玖を見ていると胸熱になるしな」
「.....私.....凄い嬉しいけど.....良いの本当に」
「.....俺は決めたからな。もう後には戻れないよ」
「.....」
お兄ちゃん。
いや。
裕太郎さん。
私もやっぱり貴方が好きです。
と赤面で告白してきた美玖。
俺はその手を取った。
「お前はハンデがある。だけどそんなハンデは俺にとって気にならないから。だから.....幸せにしてやるよ俺」
「.....本当に幸せだよ。私」
「.....」
そうしていると。
神子さんと親父が入って来る。
俺達の様子に?を浮かべていたが。
互いに見つめ合って笑ってから。
全てを話した。
「.....そうなのね」
「.....それも良いじゃないのか。血が繋がっていたらマズいが。だけどお前はそれで良いのか。裕太郎」
「.....俺は決意したんだよ。親父。だから後悔も何もない」
「.....ゆうくん.....良いの?それで」
「良いのとか聞く必要は無いです。運命の人が美玖だった。それだけです」
それから俺は笑みを浮かべてまた手を取る。
赤面している美玖を見ながら。
俺は.....柔和な感じを見せた。
理保を呼ばないとな。
みんなにも話そう。
改めて、だ。
そう考えながら俺は.....病室のドアを開けた。
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