第8話 裕太郎、美玖に監禁される

「お兄ちゃん.....」


「お、お前.....これは間違っている。絶対に間違っている!!!!!」


「ウフフ.....もう逃げられないね。これで」


椅子に縛られていた。

因みにまだ如月は下の階に居る。

どうなっているのだこれは!


冷蔵庫の水を飲んだら眠気が凄まじくて!

2階に行こうとしたら寝ちまった!

で、次に目が覚めたらこの有様だぞ。


何だよこれ!?

俺は後ろ手で縛られており。

そして.....目の前には下着姿の未来が居る。

その顔はかなり興奮している。

下着から何かが伝っているぐらいに、だ。


「お兄ちゃん.....ずっと我慢していたけどもう許さないからね.....」


「お前は何か間違っている!!!!!助けてぇ!!!!!」


何故こうなったのか。

それは.....10分前に遡る.....。

水の中に睡眠薬が混ぜられているのを知らなかったその時間だ。

思い返す。

味がおかしいと思ったのに飲むのを止めなかったのに.....後悔だ。



10分前の事。

俺は如月と一緒に部屋に入った。

それから.....案内すると。


リビングに死と書かれた紙が有ったのだ。

あまりにも不吉な感じがして.....喉が渇いていたので水を飲んでから美玖に文句を言いに行こうと思った時だったが.....。

そして俺は如月にジュースを。

それから俺は水を飲んだ。


「.....あれ?」


んで、如月が寝てしまったのだ。

俺はマジに、!?、と思って眠気まなこのままそのまま2階に向かったのだ。

アイツの仕業の可能性がある。


そう考えて、だ。

だがその道中で力尽きた。

それで今に至る。


俺は今縛られていて身動きが取れない。

そして.....上半身が裸にさせられていて.....うん。

とにかくマズい気がする。

考えながら俺は.....美玖を見る。

美玖の部屋に入ったの久々だな.....ってそこじゃない。


「許さないから睡眠薬混ぜた」


「ふっざけんなお前!?それで如月まで寝ちまったってか!義母さんとかが帰って来たらどうする気だったんだ!」


「まあその時はその時。今は今。アハハ」


「お前!」


「でももう抵抗出来ないでしょ?これで。だから私に任せて.....全て」


コイツの目がヤバイ!

本当にマズイ!

これは童貞が奪われてしまう感じだ!


こんなに無理矢理な奪い方なんて嫌ですが!?

考えながら俺は暴れる。

しかし.....力が無い為に空しい感じだった。


「とにかく話せば分かる。エッチな事をする気分じゃない!今は!」


「だーめ。もう駄目。ここまで来たしね」


「止めてくれ!ってかラノベ燃やすぞお前!」


「アハハ。良くなってきたしね。どうでも。だから大丈夫」


「.....」


あ。これガチだ。

マズいで、と思いながら俺は暴れていると。

先輩ー?何処ですかー?、と声がした。

その声に美玖は、こんな良い時に、と言いながら服を律儀に着て表に出る。

俺にニヤッとしながら、だ。


「お兄ちゃんはそこに居てね。私が何とかするから」


「俺を放せお前!」


「嫌。性欲が我慢出来ないし」


「勘弁してくれ.....」


何でこんなに変わってしまったんだコイツは。

まあ.....昔よりかは元気そうで何よりですが。

考えつつ俺は部屋から出て行った美玖を見計らって抵抗する。

すると解けた。

そしてそのまま前に倒れる。


「.....とにかく脱出しなければ」


思いつつ目の前のデスクを見る。

そこには.....古いパソコンと。

男性の顔に黒いペンでバツ印の付けられた写真が有った。


それは.....美玖の親父だ。

俺は.....それを見ながら眉を顰める。

と思ったが.....こんな事をしている場合じゃねぇ。


「.....なんて事をしている場合では無いな。取り敢えずは、だ。急がないと」


それから俺は.....そのまま部屋から脱出しようと思いドアを開けようとした。

その時に声がしてくる。

俺は耳を立てて聞いてみた。

その声は如月と美玖の言い争う声だ。


「.....居ないってどういう事。先輩はそんな真似しないもん!」


「分からず屋ですね。居ないって言っているでしょう」


「そんな事しないから。何処に連れて行ったの。先輩を」


「しつこいですね。居ないって言っているでしょ!」


じゃあこのお家を探しますから、と声がする。

俺は慌ててシャツを着てからそのまま外に出る。

すると如月が、先輩!、と驚きながら声を発した。

舌打ちする美玖。

そして俺を見てくる。


「何で出て来るの。お兄ちゃん」


「あ!やっぱり監禁していたんですね!先輩を!この女狐が!」


「取り敢えずは.....そうだが。.....落ち着け。互いに」


「落ち着けませんよ!この女誰ですか!?先輩!」


「お前には初めての紹介となるけど俺の義妹だよ。ソイツ」


え!?、と驚愕する如月。

それから、もしかして中学からですか?、と言葉を発した。

俺は頷きながら美玖を見る。

美玖は俺をジト目で見てきていた。

監禁した癖に何でそんな目をしているのやら。


「でもどっちにせよ女狐ですね!だって先輩は居ないって言ったのに!」


「如月。コイツそういう性格だから。.....許してやってくれ」


「う.....先輩が言うなら仕方が無いです.....けど」


「それにしても美玖!お前という奴は!睡眠薬を盛るとは何事か!」


「.....お兄ちゃんが取られるから。嫌だから」


美玖は唇を噛んで俯く。

俺は美玖の素直な言葉に、そ。そうか、としか言えなかった。

だが如月はそうはいかない。

睡眠薬を盛ったんですか!?、と愕然とする。

それから美玖を見てから俺を見る如月。


「先輩.....大丈夫ですか?先輩を隠すとかこの女狐.....最低ですね!妹にしても!」


「まあ.....うん」


「.....女狐言うな!このビッチ!!!!!」


「はあ!?」


いかん.....。

面倒臭い事になってきた。

俺は間に割って入りながら、どうどう、と美玖を如月を鎮める。

美玖も如月もガルルルルと言っていた。

取り敢えずはおちけつだ。


「ふんだ!」


「ふーん!!!!!」


「.....ハァ.....」


如月と美玖は水と油だな。

考えつつ俺は盛大に溜息を吐いた。

それから.....美玖は俺の手を握ってくる。

お兄ちゃん。こんなビッチと付き合ったら嫌だ、と。


「それは分かるが幼馴染みたいな感じなんだよ」


「でも.....コイツビッチだし.....」


「ビッチビッチ言うな!この女狐が!」


「ハァアァン?」


また睨み合う2人。

これ面倒臭い.....。

誰か助けてくれ、と思い。

俺は取り出したスマホでメッセージを飛ばした。


その相手は.....取り合えず弥太郎である。

何故に弥太郎なのか。

それは理由がある。

女の扱いに慣れているから、だ。


(おう。いい加減にせぇよお前。何でそんな老若男女でオール揃いなんだよ?恋される相手が。死ねよ)


(まあそうなんだけど今はそんな事言っている場合じゃない。アドバイスくれよ。頼むよマジに)


(そうだな.....取り敢えずはまあ話を互いから聞けよ。それからだと思うぜ)


(まあそうなるよな)


ガルルルルと狼の様に睨み合う2人を見てから。

俺は額に手を添えてから盛大に溜息を吐いた。

取り敢えずは弥太郎に救済を求めつつ。

何とか鎮静化するか.....。

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