概要
ゆっくりと、じっくりと――。
春になると思い出す。
「あの日」、高校受験が迫っていた中学三年生の英里は、返って来た模擬試験の点数が悪かったため、家に帰らないことを決める。
家に帰れば、父の叱責と母の無言の圧が英里を待っているからだ。
結果だけを求める両親の元へ帰りたくなかった英里は、叔母の家へと向かう。
すると叔父が、ホットケーキを焼いてくれることになって……?
受験を控えた受験生に贈る、温かな物語。
*2万字程度の短編です。
*2021年の今時期に合わせて書いていますが、内容の核は新型コロナウイルスではなく「受験勉強」についての話です。
「あの日」、高校受験が迫っていた中学三年生の英里は、返って来た模擬試験の点数が悪かったため、家に帰らないことを決める。
家に帰れば、父の叱責と母の無言の圧が英里を待っているからだ。
結果だけを求める両親の元へ帰りたくなかった英里は、叔母の家へと向かう。
すると叔父が、ホットケーキを焼いてくれることになって……?
受験を控えた受験生に贈る、温かな物語。
*2万字程度の短編です。
*2021年の今時期に合わせて書いていますが、内容の核は新型コロナウイルスではなく「受験勉強」についての話です。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!ホットケーキにも人生の哲学がある
小さなつまづきが大事件のように感じる十代の頃。
受験という言葉の重みに圧し潰され、数字という結果だけに縛られる心。
そんな繊細な中学生の心情が、とても伝わりやすい言葉で綴ってあります。
失敗があるから学ぶことがあり、そこから得ることがあるのは、大人になってから分かるのかも知れません。でも少しでもそれを知ることで、今の自分を縛っているものから楽になれれば、頑張っている自分を認めてあげられるようになるのでは。
失敗があったから成功がある。それは主人公の叔父が焼いてくれるホットケーキも同じ。
不安の中にいる人に向けてそっと背中を押してくれるようなあたたかい物語です。甘い匂いが漂ってくるような優しい…続きを読む - ★★★ Excellent!!!逃げられないすべての人へ
両親の愛に応えることと、両親の期待に応えることは、全くの別物だ。
勉強をし続けることと、成績を上げ続けることも、全く違う。
前者は何時だって自分のため、義務じゃない。
好きに愛して、好きに勉強する。嫌いなものは捨てていい。
けれどそれは、
「親がかわいそう」「親になったら大変さがわかるわよ」と、
「大学生になってからやればいいじゃない」「今こなさないと人生真っ暗よ」と、
『義務』をつきつけて邪魔をする他人がいる。
努力は『時間』と『精神』(あるいはお金)をベッドにする、結果が不確かなギャンブルだ。
費やしても後悔しないと心から思えることに、熱意を注げばいい。したくないことに精神をすり減らさ…続きを読む