R-11
急に目が覚めた時、頭がついてこない時がある。
いまがそうだった。
いまがいったい何時で、何曜日で、自分がどこにいるのかわからない。
無造作にスマホを探す。もうこんな仕事しない生活を長く続けてると、いまが何日だったのか忘れてしまうこともある。
あれ、無い。下に落としたかな。
……。
違うじゃん!
私、もう日本に住んでる中島翔子じゃなかった。
私の名前はローゼリア・フォン・フェルディ。
乙女ゲーム「ヴァイセローゼ ~白薔薇の君に捧ぐ~」の主人公に転生したんだ。
あれ、でも今がいつだったかは忘れてる。
そもそもなんで寝てたんだっけ。
ああああ、イベントの時期かもしれないのに!
どうして思い出せないんだろう?
そこで急に、後ろでバタンという音がした。
扉が開いたんだ。誰だろう。急いで入ってきたみたいだけど何も言わない。
「ローゼリア……」
「あれっ、ミザリィ?」
この声、ミザリィだ。
おっと、いけないいけない。今の彼女はまだ悪役令嬢として動いてるんだから。というか、ミザリィがいるってことは、ここって学院?
それじゃあどうして寝てたんだろう。もしかしてイベントじゃないシーンかな。ダンジョン攻略とか学院の授業中とか、イベントじゃないところってたくさんあったし。
でもどうしたんだろう、何も言わない。
「まあまあ。このような場所でも眠っていられるなど、やはり庶民というのはわかりませんわね」
あ、良かった。いつものミザリィだ。
これってあれだ。
何回かダンジョン内で倒れちゃうと見られるイベント。
普通だったら一番仲のいい攻略キャラが来てくれるだけのイベントなんだけど、ある一定の条件で勝手に発生して、ミザリィが来てくれるんだよね。それが好感度が上がってる証拠だったっけ。
えー、ヴァージル様が良かったなあ。でもこれでミザリィの好感度が上がってることが証明されたし、真エンドに向かっての懸念事項は無くなったんじゃない!?
「まったく。ぼやっとしてないで、水でもかぶっていらっしゃい。――さっさと支度をしなさい」
そうそう。こんな感じ。
それで連れて行かれて――連れて行かれて、どうなるんだっけ……。
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