R-5 シナリオならお手のもの

 いまのところ、学院生活はシナリオ通りに進んでる。

 私が商人の家系出身だってことで突っかかってくる女子生徒が結構いるけど、まあ許容範囲。そういえばローゼリアはそれが要因で最初のうちは馬鹿にされてるんだよね。


「うーん。あんまりシナリオから外れた行動をするのはちょっと怖いかもね」


 ゲームは攻略キャラと交流するアドベンチャーパートと、ダンジョンを攻略するRPGパートがある。

 RPGパートは学院が管理する六つのダンジョンと、そこにラスダンをあわせた七つのダンジョンを攻略していくものだ。それぞれ特色があるダンジョンで、火・水・土・風に対応している。それと聖女の試練として隠された光のダンジョンと、ラスダンは闇に対応したものだ。


 アドベンチャーパートは交流によって攻略キャラが新しい魔法を覚えたりするから欠かせない。

 その中での強制イベントや、必須イベントさえクリアしていけば問題ないかな。


 やりこみすぎてダンジョンの中のギミックまで全部覚えちゃったんだよね……。戦闘は基本的にその場その場でやってくものだけど、ギミックは同じだから普通に覚えてる。っていうのが、現実だとこんなに役に立つんだ。

 ……いや、普通だよね?

 家の中でもどこに何があるかわからないと生活できないよね?


「それにしても、順調にシナリオは進んでるね」


 一年生の担当はレストール先生だし。

 ちなみにこのゲームの真のラスボスはレストール先生だ。いきなりだけど。

 この世界を闇に包もうとした「闇の皇帝モルグ」ってのが共通のラスボスで、モルグを復活させようとしたのが黒幕であるレストール先生。

 というわけで、先生に怪しまれないように動かないようにしないとね。


 ついでに、ミザリィはさっそく突っかかってきた。

 なんかちょっと違和感あったけど、たぶん大丈夫。


 そうそう、それと最初のダンジョンの仲間。

 学院が管理する「薔薇の庭園」は、攻略キャラでもある暴走機関車・ルークと、これまた攻略キャラにして病みキャラ・ディランとの三人で攻略することになった。

 この二人は最初からいるキャラだから、結構人気を二分してたなー。ぜんぜん違うタイプなのに。

 実況プレイしてた人にも、「こっちの人、最初からいたから個人的な好感度は高い」とか言ってた人、いたしなあ。


 ディランは水属性と言いつつ、本当は下位クラスの氷属性なんだよね。

 氷属性だってわかるのは途中のイベントだから、ちゃんと修正しておかないとね。


「うーん。ローゼリアは最初から回復魔法使ってたから、言っちゃっていいかも」


 ローゼリアが使う魔法に風っぽい魔法は無くて、体力回復の魔法だ。

 じゃあ回復魔法が使えるって前提でいこう。


 ボスには水属性が効くから、ディランを温存して……。

 それじゃあちゃちゃっと攻略して、真エンドを目指そう!


 ふっふっふ。

 このシナリオ……もらった!

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