震えた字で書かれた最初のページ

赤き薔薇より

 エルサンドラ歴147年、7月1日。

 午後四時きっかりに、ローゼリア・フォン・エルサンドラは三十四年の短い生涯を終えた。


 聖女であり、国母だった彼女は怪物として死んだ。


 ならば彼女の生涯について、私は語らなければならない。

 それが私の義務であり責務なのだ。


 私以外に、彼女を語れる者はいないのだから。

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