アダンの想い
先程の発声のせいでさらにきつくなった魔術。息苦しさすらも感じる中、エゼルを必死に目で捉えた。
エゼルは俊敏な動きで狼をかわし、そして殺していた。速すぎて目が追い付かないほどだ。かれこれ十分くらい続けている。
「ははは! 思っていたよりやるな! ほれほれ!」
辛そうに歪んだ表情で狼の命を奪っていくエゼルは見ていて辛かった。しかしソロンは無情に次々と狼を召喚してしまう。トパーズとサファイアは血走って、エゼルを追い詰めることに夢中だ。
「ぐっ!」
「……!」
「おお」
さすがのエゼルでも多量の狼を殺せば精神も身体も疲弊してしまう。そんなエゼルの隙をついて狼が足に噛みついた。
「噛まれてしまったなぁ。じわじわと毒がお前の体を蝕んで行くだろうよ」
片膝をつくエゼルにソロンは微笑む。エゼルは唇をかみ締め、汗を滴らせ、ソロンを睨みつけた。
見るからにぼろぼろのエゼル。これ以上傷つけてはいけない。彼を一番傷つけたのはアダンだと理解しているからこそ、切実に思った。
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