妖精

「ん……」

「おや、目を覚ましてしまったのですね」

 目を開けると、小さな生き物が視界を塞いでいた。

 生き物は淡く金色に光っていて、羽を動かして飛んでいた。その姿は人間に羽を生やしたようだ。

 神話で語られるフェアリーとよく似ていた。まさかこの世に本当に存在していたとは。まだ夢の中にでもいるのだろうか。

「まだ起き上がってはいけませんよ」

 体を起こそうとすると、フェアリーに止められた。

「手当の途中ですから」

 自分の体を見て見ると、フェアリーと同じように金色の光に包まれていた。目に見える傷やそうでない傷が静かに治っていっている。

「まだ眠っていてください。きっといい夢が見れます」

 フェアリーの小さな手が目の上を通ると、引きずられるように眠りに落ちた。


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