第4話 マジカルコインを集めよう。





『ミッションが発令されたのだ。ミッションの確認はインストールされたミッションアプリで確認出来るのだ。ミッションをクリアして手に入れたマジカルコインを使うことでアイテムや武器の購入、アイテムや武器がランダムで排出されるガチャが引けるのだ。活用して欲しいのだ』


プリンセス・アリスの魔法の扉を設置する拠点を探すために、他の魔法少女と遭遇しないように注意を払いながらあまり人が近づかなさそうな場所を、プリンセス・アリスたち3人が探していると、3人のスマホから一斉に同じ音声が流れた。


「アリス、ラピィ、ミッションについて確認したい。あちらの物陰に向かおう」

「了解ですぅ」


ドリームの提案に従って、ラピスラズリとプリンセス・アリスはドリームに続いて物陰に入り、スマホの画面を開いた。


ミッション①他の魔法少女とフレンド登録をしよう。

クリア報酬100マジカルコイン

ミッション②5人以上のパーティーを作ろう。

クリア報酬500マジカルコイン

ミッション③他の魔法少女を討伐しよう。

クリア報酬1000マジカルコイン(1回クリア毎に)


ミッションの内容を確認した後、ショップ画面を確認すると、ガチャは1回100マジカルコインでアイテムの指定購入には最低でも500マジカルコインが必要だった。

また、10000マジカルコインで魔法少女の固有アイテムが購入可能と表示されていた。固有アイテムとは何かをドリームがピクセルに尋ねると、購入した魔法少女にはとても役に立つアイテムだが、それ以外の魔法少女にはガラクタ程度の価値しかない。というアイテムのようだった。


「それにしても…10000マジカルコインは高すぎますよぅ…」

『それだけ強力なアイテムが手に入るってことなのだ』


ラピスラズリの呟きにそう反応してピクセルは画面から消えた。


「とりあえず…フレンド登録を3人でしようか。マジカルコインを持っておいて損はないだろうからな」


ドリームの提案にプリンセス・アリスとラピスラズリは頷いてスマホの画面を開き、それぞれがフレンド登録を済ませて、ミッションクリア報酬のマジカルコインを受け取る。


「ガチャ…引いてみる?」


マジカルコインを受け取り、一度だけガチャが引けるような状況になり、ドリームがガチャ画面を開いて呟いた。


「うーん。マジカルコイン使っていいのかな…」

「でもぉ、マジカルコインの入手難易度結構高そうだし…無駄に貯めるよりかは使って強化をした方がいいかもですよぅ」


悩むプリンセス・アリスにラピスラズリが言う。たしかに、プリンセス・アリスの言う通り、マジカルコインの入手難易度は高い。まず、魔法少女を殺すことは…プリンセス・アリスとドリームにとってはなるべくしたくない事柄だ。そして、5人以上のパーティー、性格の悪いミッションだ。カーロスが生きている限り、生き残ることができる魔法少女は4人なのに…そのため、仲間同士での殺し合いを避けるためにパーティーを組むとしても4人まで、だろう。

パーティーは一度組むと抜けられない。パーティーメンバーの追加、パーティー同士の合併は可能だが、抜けることはできない。よって、マジカルコインを稼ぐために取引で一時的にパーティーを組むことができない。

パーティーを組むと、マップアプリにパーティーメンバーの居場所が表示されるようになる。純粋な仲間のパーティーならメリットだが、マジカルコイン入手のための取引で、敵対することになるかもしれない相手とパーティー登録をすると、常に敵に居場所を掴まれていることになり、落ち着かないだろう。


「試しに、私だけでも引いてみるか…」


ドリームは軽いノリでガチャボタンを押した。画面にはしゃぎ回るピクセルが表示され、謎の音楽が流れて、ガチャからアイテムが排出される演出が出た。


アイテムランクC:プレゼントギフト…フレンド、もしくはパーティーメンバーに自分の装備やアイテムを譲渡できる。


魔法少女の装備やアイテムは魔法少女が死ぬと共に消滅する。だが、このアイテムで譲渡を行った装備やアイテムは消滅しない。ドリームはこのアイテムを引いた瞬間、もし、自身がレアなアイテムなどを入手した際はすぐにプリンセス・アリスに譲渡しようと決めた。


「じゃあ…ラピィも引いちゃおぅ」


ドリームに続いてラピスラズリも軽いノリでガチャを引いてみる。


アイテムランクB:固有結界…魔法のキューブを投げると固有結界が一定時間生成される。


「あららぁ…なんか、さっき使った宝石みたいな効果だねぇ…まあ、あの宝石は生成されるまで時間かかるみたいだから、ちょうどいいかぁ…」


先程、ビルの上で使った宝石をドリームはイメージする。あれと似たような効果が期待できるならいろいろな使い方ができそうだ。と、ドリームは判断した。


「じゃあ、私も引こうかな」


ドリームとラピスラズリに続いてプリンセス・アリスもガチャボタンを押した。


アイテムランクS:魔法の源…ピンチになると、自身の魔法が覚醒する。


「ん?なんか、アリスのアイテムだけ雰囲気が違うな…」

「たしかにぃ…なんか、効果が曖昧って感じがするねぇ…」


たしかに、プリンセス・アリスが引いたアイテムは効果がぼんやりしている。ドリームとラピスラズリが引いたアイテムは具現化できたが、プリンセス・アリスのアイテムは具現化できなかった。ドリームが引いたプレゼントギフトはカードのようなもので、それを譲渡したいアイテムに当てて、譲渡したい相手を指定すると譲渡が成立したみたいだ。ラピスラズリが引いたアイテム、固有結界は小さなキューブだった。そのキューブを投げて地面に当たると固有結界が作られるみたいだ。


「とりあえず、アイテムとミッションはこれくらいにして拠点探しを再開しよう」

「あ、そのことなんだけどさ、ここじゃダメかな?」


拠点探しの再開を提案するドリームにプリンセス・アリスが言うと、ドリームが納得できないような表情をする。今、ドリームたちがいるのは適当な物陰、という感じで見つけた小さな洞窟のような場所だ。巨大な崖の一部なので、たしかに発見はされにくいかもしれないが……


「えっとさ、入り口をドリームの魔法で塞ぐことはできないかな?」

「………なるほど。たしかに、それならこの場所を拠点にできるな」


プリンセス・アリスに言われて、ドリームは納得した。さっそく、試すことにして、プリンセス・アリスは洞窟の中に魔法の扉を設置する。そして、洞窟の外にプリンセス・アリスが出ると、ドリームは地面に剣をさして、魔法を使い、洞窟の入り口を塞いだ。

そして、プリンセス・アリスが再び魔法の扉を作り、扉を開きプリンセス・アリスたちは扉を潜る。すると、プリンセス・アリスたちは洞窟の中にいた。


「成功だな。これなら、誰にも見つからないだろう。拠点としては最高だ」

「そうだねぇ…涼しいし、結構いい感じ…ちょっと暗いけど我慢だよねぇ」


ドリームとラピスラズリの言葉を聞きながらプリンセス・アリスは魔法の扉を閉じた。洞窟内の魔法の扉は残っているが、外の魔法の扉は消滅した。


「さて、ラピスラズリ、先程消費した宝石が回復するまでどれくらい時間がかかる?」

「うーん。あと30分くらいで大体は生成できるかなぁ…秘蔵の宝石以外だけどねぇ…」

「そうか、じゃあ、30分くらい休憩しよう。ずっと気を張っていたから疲れただろう」


ドリームの提案に、プリンセス・アリスとラピスラズリは頷いた。プリンセス・アリスもラピスラズリもドリームほどではないが、周囲に気を配っていたので、かなり疲れていた。


休憩中にドリームがマップを開くと魔法少女の残り人数が95人になっていた。

もう、4人も死んだ…と、ドリームたちは驚愕し、恐怖心を抱いた。


残り-95人






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