第22話 遠距離戦
「………後は私が上手く逃げるだけだな。だが………」
アカネは再び刀を構える。先程の斬撃の連打で数人は倒した気がする。離脱するならば、相手が混乱している今、だが……アカネは片足を削られていた。この足では逃げられない。
「無理だな……」
逃げることができないと判断したアカネは狙いを定めた。先程、宙を舞った際に一瞬見えた魔法少女…紅組の大将に狙いを定めた。
「やった!」
敵の大将である魔法少女がいた位置が爆発し、背後にいたボムボムは喜んだ。だが、スナイプは喜びを抑えて新たに狙いを定めた。先程まで、共闘していた魔法少女たちに…
1発、放ち先程別れた11人の魔法少女の内の1人を仕留める。次の狙いを定めるために、スナイプは魔法を使う。一瞬で戦況を把握した。先程の袴姿の魔法少女に5人殺されていて、今、1人、スナイプが殺した。そして…
「ボムボム、クリスタル、伏せろ!」
スナイプが叫んだ瞬間、ボムボムの首が跳んだ。ボムボムの首が跳び、発狂するクリスタルをスナイプは突き飛ばしたが、間に合わず、クリスタルの右手がなくなる。
「仕留めきれていなかったか…」
スナイプはスコープで袴姿の魔法少女の姿を捉えた。彼女がまだ、生きている。ということは敵の大将の魔法少女を仕留めることができなかったと言うことだ。
スナイプは袴姿の魔法少女に狙いを定める。それと同時に袴姿の魔法少女が刀を振るう。
そこからは凄かった。
スナイプの狙撃とアカネの魔法による斬撃の撃ち合い、場所の優位は高い位置に構えているスナイプだが、アカネは森の木に身を潜められるハンデがある。
普通なら、遠距離戦の場合、身を潜められる場所がたくさんある方が有利だ。スナイプは高台を抑えているとはいえ、撃つ度に居場所がバレる。居場所がバレてしまうとすぐに斬撃が飛んでくるのでスナイプは撃つたびに移動をする。スナイプはリロードをしたりする必要があるが、アカネはリロードを必要としない。
スナイプは魔法の弾丸を使うか悩んだが、使えなかった。理由は3つ、1つ目の理由はリロードに結構な時間を必要とするから、2つ目の理由は、魔法の弾丸には数に限りがあり、あまり使いたくない。3つ目は、アカネを囲んでいる魔法少女たちだ。
プリンセス・アリスを仕留められなかった現在、味方の魔法少女を殺すことは躊躇われる。彼女たちはスナイプにとって、このミッションが終わるまでは使える駒だからだ。
そう言った理由から、スナイプは魔法の弾丸を使えない。
アカネは3つのハンデを構えていた。1つ目は撃ち合っている相手に高台を取られている点、2つ目は片足を失い機動力が低い点、3つ目は撃ち合っている相手以外にアカネを囲んでいる魔法少女たちがいる点
2つ目のハンデはかなり致命的だった。2つ目のハンデのせいで、他の魔法少女たちが到着すれば、まず間違いなく殺される。だから、その前にアカネはスナイプを倒すしか手段がない。
「クリスタル、水晶であいつをマークしてくれ。水晶が常に私に見えるようにもしてほしい」
「わ、わかりました」
スナイプの指示に従い、クリスタルはアカネを水晶に映す。クリスタルの水晶と自身がスコープで覗いているアカネの姿からアカネの急所の位置を演算して狙いを定めて発射をするが、お互いなかなか当たらない。
そんな中、勝負を急ぐアカネが大胆な行動に出た。隠れることをやめて全力で刀を振るい始めた。アカネの作戦として、スナイプに反撃の隙を与えないくらいのスピードで斬撃を飛ばす。という手段に出た。
アカネの斬撃の連打を受け、スナイプは撃ち返せずに隠れる一択になってしまう。移動をしようとスナイプが移動を始めた瞬間、斬撃により、スナイプの足場が崩れた。
「使うか……」
細かく狙いを定める時間はなく、すぐに斬撃が飛んでくる。そう判断したスナイプは迷わず魔法の弾丸をライフルに詰め込んだ。
そして…躊躇うことなく、発射した。
そして、アカネは周囲にいた魔法少女全てを道連れに命を失う。
魔法の弾丸が爆発し、その場にはアカネの刀が地面に突き刺さる以外、何も残らなかった。
今回の攻防でスナイプはアカネは1人に対して12人の魔法少女と、クリスタルの片腕、2発の魔法の弾丸を失う結果になってしまった。
この結果は、白組からすればかなりの戦果だが、プリンセス・アリスに与える影響は、大きなものになるのだった。
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