第24話 唯一の仲間





「ねえ、あんたふざけてるの?」


たまに、思い出す。数ヶ月前の出来事を…

石田彩音が不登校になったのは中学2年生になってから数ヶ月後のことだ。


彩音のマイペースでのほほん。とした性格は学内カーストの上位に存在するであろうボス女子グループの気に障ったらしい。


だが、彩音は人気があった。マイペースでのほほん。とした天然系の癒しキャラ的な性格で、見た目も小柄で可愛らしく男子からかなりモテた。それも、女子から嫌われていた原因なのだろう。


「ふ、ふざけてないよぅ…」

「その口の聞き方や態度がムカつくんだよ」


複数人の女子に体育館裏に呼び出され私は何度もいじめられた。陰湿な嫌がらせもいっぱいされて、何度か本当に死のうとしたこともある。


いじめられて、心を病み、彩音は家に引き篭もるようになった。だが、誰も彩音を心配してくれなかった。家族、先生、いじめをしていた女子たち、彩音にチヤホヤしていた男子たちも誰も心配してくれなかった。彩音はいらない子だと、そう思っていた。




「手を組まないか?」


誰にも必要とされていなかった彩音はいっそのこと、この殺し合いで死ねたら楽なのかと思っていた。


そんな時、彩音に手が差し伸ばされた。彩音を、必要としてくれる人がいたのだと、彩音は嬉しさを感じた。


「アリスを…夢を…頼んだ」


そう、言われた時、不謹慎だが、彩音は少し嬉しかった。彩音を信頼して大切な人を預けてくれたことが。


この殺し合いが始まった時、辛いことなく死ねる。と期待した。だが、現実は辛いことだらけだ。ドリーム、アヤカ、祭神、アカネ…彩音が仲間と呼べた者たちが次々と居なくなっていく。それが、こんなに辛いことだとは彩音は思ってもみなかった。だが、そう言った辛い感情を味わい私は生きている。と実感したりもした。


今、彩音には目の前の女の子しかいない。

もう、失いたくない。

大切な人を預けてくれた騎士さんの信頼に応えたい。


さまざまな感情を感じ、彩音は…ラピスラズリは目の前にいるプリンセス・アリスに優しく声をかけるか。


「ラピィはずっと、アリスちゃんの側にいるよ。安心して。絶対いなくならないから」


ラピスラズリはプリンセス・アリスを抱きしめる。ラピスラズリに残された最後の仲間を失いたくない。最後の仲間を…唯一の仲間を…失いたくない。


「約束、ラピィはアリスちゃんの側にいる。だから、アリスちゃんはラピィの側にいて…お互い助け合って、生き延びよう。ドリームのためにも、ラピィはアリスちゃんを放ってはおけないからね」

「本当に…ずっと、側にいてくれる?」

「うん。約束だよぅ」


ラピスラズリの言葉に答えるように、プリンセス・アリスは、ラピスラズリから離れない。と約束するように、ラピスラズリをぎゅっと強く抱きしめた。






  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

不思議の国の魔法少女 りゅう @cu180401

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ