第5話 魔法少女たち





4人でパーティーを組んだ魔法少女たちがいた。彼女たちは生きるために…他の魔法少女たちを4人がかりで殺していくための契約でパーティー登録をしていた。

4人パーティーならば、常に側にいれば裏切られるリスクは少ない、と4人それぞれが判断して結ばれた契約だった。


4人の魔法少女がパーティーを組んだ目的は生き残るため。ならば、生き残るためにマジカルコインを稼ぎ、戦力強化をしたい。と考えるのは当然だった。



白井 柚衣は…魔法少女:ウェディングは可愛らしい魔法少女だ。可愛らしい顔と綺麗な茶色の髪の毛は純白のベールに包まれていて、まるで結婚式で着るウェディングドレスのような純白の装いだ。(動きやすいようにスカートは短くなっていて、白のニーソを身につけている)そんな可愛らしい彼女の容姿とは裏腹に、魔法少女ウェディングは性格が悪かった。




4人の魔法少女はウェディングに狙いを定めた。まず、魔法少女ウェディングにパーティー登録の話を持ちかけて5人パーティーのミッションを達成、その後、早い者勝ちでウェディングを仕留める。そういう計画で、4人の魔法少女たちは1人で行動していたウェディングを囲んだ。


「え…えっと…パーティー組むのはいいですけど…代わりにみなさん、私の言い成りになると約束してください。私は弱いので…裏切られるのが怖くて……」


ウェディングに出された条件を4人の魔法少女は笑いながら快諾した。パーティー登録すれば用済み…どのような約束をしても関係がなかった。


「あっけなかったなぁ…こんな感じで駒を増やせばいいのかぁ…」


ウェディングとのパーティー登録を終わらせてから、4人の魔法少女は身体の自由を奪われる。


魔法:約束を必ず守らせる。


4人の魔法少女という強力な駒を手に入れたウェディングは近くの建物に入り、この後どうするかを、ゆっくりと考え始めた。





伊藤綾香は吉田志穂の恋人だった。女性同士のカップルで、ボーイッシュな感じの綾香が、志穂の彼氏のような立ち位置だろう。

伊藤綾香は魔法少女:アヤカとして、吉田志穂、魔法少女:祭神を護るために戦っていた。


「綾香…」


短い黒髪で整った顔立ち、動きやすそうな感じの薄い黒色の服を身に纏った魔法少女アヤカが…2人目の魔法少女を殺す瞬間を、ただ見つめていた。


「終わったよ。志穂…とりあえず安全な場所に移動しよう」


アヤカは呆然としている志穂…祭神に優しく語りかけて祭神の手を引いて近くの建物に身を隠す。近くの建物に入ると、ピクセルがミッションの説明をし、すぐにアヤカと祭神はフレンド登録をして1つ目のミッションを終わらせる。


「志穂…大丈夫?辛くないか?」

「大丈夫…ちょっと…具合が悪いけど…これくらい…」


アヤカが正当防衛とは言え、2人の魔法少女を…2人の人の命を奪った事実が、祭神には耐えられない苦痛だった。


「残り95人か……先は長いな……」


祭神を心配しながら、アヤカはスマホのマップでいろいろ調べていた。


「綾香は…怪我とか大丈夫?」

「あぁ、大丈夫だよ。志穂の祈りのおかげでね」


祭神の魔法は、祈ることで愛する人をパワーアップさせることができる魔法だ。それに加えて、アヤカの魔法は一言で言うと感覚強化だ。視覚や聴覚、嗅覚の強化だけでなく、切り札として痛覚の遮断もできたりする。また、感覚を強化することで反射神経を上げたりすることも可能であり、祭神とアヤカの魔法が組み合わさると、2人に真っ向勝負で勝てる魔法少女はなかなかいない。


「綾香、これからどうするの?」

「………とりあえず、町から出よう。町の中には他にも魔法少女がいるかもしれないからね。なるべく危険なことは避けたいしね」


不安そうな祭神にアヤカは優しく答えた。

志穂は…祭神は優しい魔法少女だ。大人しくて優しい、綺麗な薄い茶色の髪を背まで伸ばした彼女は巫女装束のような衣装を着ている。志穂の恋人として、綾香は恋人のコスプレを見ている感じがしてなんとも言えないくらいドキドキしていたりもした。


「さあ、背に乗って…町から出よう」


アヤカはそう言いながら祭神をおんぶする。アヤカに背負われた祭神は魔法を使い、祈り、アヤカをパワーアップさせる。祭神の祈りでパワーアップしたアヤカは感覚強化の魔法を使い、視覚、聴覚、嗅覚を強化して、建物から飛び出し、普通の魔法少女とは比べ物にならないスピードで町の中を走り抜ける。





「町へ戻ろう」


拠点が完成した後、ドリームの提案を聞き、ラピスラズリとプリンセス・アリスは驚いた。普通に考えれば、拠点で大人しくしているべきだからだ。


「私たちの目的はカーロスを討つこと…ならば、仲間は多いに越したことはない。町に行けば…何人かの魔法少女はいるはずだ。もし、仮にこちらが危険になっても、こちらはアリスの魔法の扉や、ラピィの転移宝石があるから比較的にリスクは少ないと思うが…どうだろう?」


ドリームの意見を聞いた、プリンセス・アリスとラピスラズリはたしかに。と頷いた。すでに、ラピスラズリの秘蔵の宝石以外は生成できているため、他の魔法少女と戦うことになっても応戦・離脱は容易にできるだろう。


「わかった。じゃあ、町に行こう。ドリーム、ラピィちゃん…一応確認だけど…やむを得ない場合以外は戦わない。殺さない。それでいいよね?」


プリンセス・アリスが確認するとドリームとラピスラズリは頷いた。確認が完了したため、ドリームの魔法で拠点の入り口を開けて、全員が拠点から出た後に、再びドリームの魔法で拠点の入り口を塞いだ。

その後、プリンセス・アリスたちは、3人で身を隠しながら町に向かった。






「え…何これ…めちゃくちゃ速い……こんなのチートじゃん」


建物の会議室のような部屋で椅子に座り、水晶に映る2人の魔法少女の様子を見ながらウェディングは呟いた。水晶に映る2人の魔法少女はあり得ないようなスピードで町の中を移動して、町から出るような動きを見せていた。


「生かしとくと厄介になりそうだし…居場所がわかって強襲できるうちに殺しとくか…」


ウェディングはそう呟きながら水晶を隣にいた魔法少女に返す。

水晶を持った魔法少女の名はクリスタル、水色のショートカットヘアーの可愛らしい女の子で、水色のフリフリの服には小さな水晶がたくさん散りばめられている。

クリスタルの魔法はクリスタルが持つ巨大な水晶でクリスタルの半径10キロメートル以内の場所を自由に観察できる魔法だった。

クリスタルを操るウェディングが適当にクリスタルの魔法を試しに使わせていると偶然、厄介そうな魔法少女2人組を見つけたという訳だ。

ウェディングは、クリスタルに2人の魔法少女から目を逸らすな、と命じてクリスタルと残り3人の魔法少女を連れて移動を始める。2人の魔法少女がウェディングたちから離れていくように移動していたら追いつくことはできなかっただろうが、運良く2人の魔法少女たちはウェディングたちの方に向かって来ていた。待ち伏せして4人に同時攻撃をさせて確実に仕留める。いや、あれだけ動ける魔法少女なら上手いこと下僕にするべきか…とウェディングは脳内で考えるが欲張ると命取りになりかねない。殺すつもりで強襲しよう。と、2人の魔法少女を操ることを頭から消し、2人の魔法少女が通ると思われる位置に陣取り5人で2人の魔法少女を待ち構える。




「敵か…」


アヤカは突然建物の中から現れて、アヤカたちに襲いかかる魔法少女を思いっきり蹴飛ばした。アヤカの蹴りを喰らった魔法少女は勢いよく吹き飛び、近くの柱に身体を打ち付けた。攻撃してきた=敵とみなしてアヤカは襲いかかってきた魔法少女にトドメを刺そうとする。


「ダメ!」


アヤカと魔法少女の間に入るようにして、プリンセス・アリスが、アヤカの前で両手を広げた。






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