第13話 最後の祈り
「逃げない…のですか?」
アヤカにトドメを刺した後、消えゆくアヤカに手を伸ばしていたが、届かず、絶望を感じてその場に膝をついた祭神を見下ろしながらカーロスは尋ねる。
「綾香の側にいるって…誓いましたから…綾香を1人にはさせないと……」
祭神は…志穂は覚悟を決めた。綾香の後を追う覚悟を……
「そうですか♪では、楽しませてくれたことに感謝している♪と伝えてください♪」
カーロスの体はアヤカとの戦いでボロボロになっていた。片足片手は使いものにならないくらい痛んでいて立っているだけで体が震える。祭神が、ここで戦う選択をすれば…この戦いは終わっていたかもしれない。
「私は…弱い…ですね」
「愛する者の後を追う覚悟がある者を弱いとは思いません♪まあ、私にはわからない感情ですが♪」
「私は弱い…だけど、あなたは強くいてください。私とは違う道を選んでください。この状況で、見ず知らずの人のために命をはれるあなたは強い。私の最後の祈りです」
志穂は…祭神は祈った。純粋な心を、強い心を持つお姫様のように美しい魔法少女が、志穂とは違う道を選ぶことを…志穂の祈りは祭神の魔法へと変換されて、つい先程知り合ったばかりの魔法少女の元へと消えていった。
「殺してください」
「あなた方に敬意を♪」
カーロスは躊躇いなく、一撃で、確実に祭神を…志穂を殺した。
「綾香…今から、行くね。ごめんね。言いつけ、破っちゃった…………おこ…られる……かな……ゆるし……て…くれる……かな………あえば……わかる……か………」
志穂は弱々しくなる声でそう呟きながら、倒れて、消えていく。カーロスは黙って、祭神の最後を見届けた。
「しばらくは…大人しくしていないとですね♪」
片足を引き摺りながらカーロスは暗いところへ消えていきカーロスの姿はなくなった。
残り-80人
「何?これ……」
ドリームの剣を手にして少しすると、プリンセス・アリスは、体に力がみなぎってくるのを感じた。
プリンセス・アリスには何が起こっているのか理解できなかったが、ドリームが…翔太が、まだ、こっちに来るな。と言っているような感じがした。
「どうしたのぉ?」
「え、あ、うん。なんでもないよ。どう?宝石は回復した」
「うーん。もうちょっと時間かかるかなぁ」
先程から物陰に隠れてラピスラズリの宝石が回復するのを待っていた。回復を待つ間、プリンセス・アリスとラピスラズリは話したりはしておらず、微妙な雰囲気になっていた。
「減ってるねぇ…」
先程からマップを見つめていたプリンセス・アリスにラピスラズリが声をかける。ラピスラズリたちが、物陰に隠れてから急速に人数が減り…残り、80人になっていた。減った者の中にはドリームも含まれているが、アヤカと祭神も含まれていることを、プリンセス・アリスとドリームが知る術はなかった。
「早く…終わらせないと……」
「焦りは禁物だよぅ。確実に倒す。そのために準備が必要、もう…仲間を失いたくない。でしょう?」
「うん。まずは…仲間……あと3人は集めて、アイテムを手に入れて……強くなって、倒す」
「うん。それがわかっているなら大丈夫だねぇ」
「うん。もう、誰も…失いたくないから……」
「うん。アヤカちゃんと祭神ちゃんが無事なら…頼もしいんだけどねぇ…」
アヤカと祭神は強い。プリンセス・アリスとラピスラズリの共通認識だ。だから、出来ることなら…また、2人と共に戦いたい。と、プリンセス・アリスとラピスラズリは思っていた。
「宝石、回復したよぅ。これからどうする?」
「とりあえず、移動しよう。慎重にね」
「うん。わかったよぅ」
プリンセス・アリスとラピスラズリは2人で移動を始める。
とりあえず、仲間の魔法少女が欲しい。そう、プリンセス・アリスとラピスラズリは願ったが、残り人数がどんどん減っていっているということが、何を指すか、プリンセス・アリスとラピスラズリは気づくことができなかった。
「つ、つよ…い………」
3人でなら勝ち目があると思っていた。だが、敵わなかった。魔法少女アカネは長い日本刀を鞘にしまう。アカネに斬られた魔法少女たちは消えていく。
「愚かな奴等め…私に勝てるわけがないのに……」
「マールちゃん、そっち行ったよ!」
「う…うん。わかったよキララちゃん……」
魔法少女キララが追い詰めた2人の魔法少女の逃げ道を魔法少女マールは魔法で塞いだ。
「え、え、進めない」
「何、これ?壁?」
「ふっふっふ、マールちゃんの魔法、すごいでしょう?さあ、トドメだー」
魔法少女キララは2人の魔法少女を倒した。戻る、キララとマールは2人の魔法少女と戦うつもりはなかった。だが、一度戦いになってしまったらキララは容赦しない。キララを死なせないために、マールも戦う。
さまざまなところで、さまざまな魔法少女たちが、衝突して、命を奪いあっていた。
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