第7話 感想

 イナズマ作家になると気合を入れた、神栖。

 その神栖はというと、あの後、リビングにいた。


 あみは料理を作っている。


 そんな、あみに話しかける神栖。

「あみ! おれは将来のイナズマ作家になる男だからな! サイン書く練習しないと」


「そんな練習なんてしてないで、はやく新作を書き上げなさい」


「あ! あみ! おれのサイン貰っとくか?」


「結構でーす」


「なんだよ、つれないな~」


「はやく、書きなさい!」


「は~い」


 ブーブーと反抗の声をあげる神栖。

 そして、あみの声に従うように小説に取り掛かろうと、リビングを出る。その時、あみから声がかかった。


「あ、お兄ちゃん。今日、病院の日じゃなかった?」


「お、そうだな。もう少し経ったら、行かなくちゃな」


「ちゃんと、お医者さんの言うこと守るんだよ?」


「わかったって。とりあえず、行ってくるか~」


「うん、行ってきなさい」


「ほいよ~」


 リビングを神栖がでようとすると、

「あ、そうそう、お兄ちゃん」


「ん? なんだ?」


「服、洗濯して乾いたやつ、お風呂の洗濯機に置いておいたから」


「おう、サンキュ」


 妹の気の使い方に感銘を受けつつ、向かったのはお風呂。朝風呂を入るのが、神栖の習慣だ。


 服を脱ぎ、シャワーを浴びる。髪と体を丁寧に、なおかつ手早く、手慣れた様子で洗い、湯船に入る。神栖は、湯船に浸かる派なのだ。


「あったまるな~」

 冬で寒いということもあって、お風呂は暖かく気持ちよかった。この湯船につかりながら、音楽を聴くのが些細な楽しみの一つだ。


「うまくいきますように! よしっ、今日も頑張るぞ!」


 自分に気合を入れ、風呂を上がる。そして、用意された服に着替え、自分の部屋へ戻るのだった。自分の部屋に戻った神栖には、小説を書く上で思うことがあった。


「感想欲しいな」


 それが、今望むことだった。

 感想を貰えれば、どこがよくて、どこがダメだったかがわかる。それに、モチベーションの維持にもつながる。


 それに、小説家になる方法を調べても、人に見せるというのは凄くお勧めされていた。


 おれも“あの作品”みたいに、自分を変えてくれた作品みたいな作品を書きたい。

 そして、他人の人生を変えたい。それが、神栖の執筆するモチベーションだった。


「ふぅ~」


 神栖は、息を吐きだしながら、パソコンを開く。

 そして、小説投稿サイトに飛ぶと、投稿ボタンにマウスのカーソルを置き、



「投稿」




と、小説を投稿したのだった。

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