第4話 竜ケ崎大子
その時、竜ケ
「だーいご! 飯でも行かないか?」
「いや、今日はおにぎり買ってきたから、ここでゆっくり食べることにするよ」
「なんだよ~、彼女か~?」
「違う違う、自分で作ったやつだよ」
「ふぅ~、安心したぜ。大子は女の子の心に火をつけるのうまいからな~」
「そんなことないって」
「いや、あるある。ほら、あの女の子。あの子、絶対大子のこと狙ってるよ」
「そうかな」
「絶対そうだって! だって、ほら! ちらちら、見てくるじゃん! 時々、目も合うんだろ?」
そんな友達との会話を楽しみながら、おにぎりを一口頬張る、大子。
「じゃあ、おれはご飯食べてくるわ」
「おう、おれもコーヒー買ってくる」
――竜ケ
身長は、百八十センチくらいあるだろうか。身長が高く、お腹周りもひきしまっている。髪の毛は茶髪で、眼鏡をかけている。
町で歩いてたら、大手芸能事務所にスカウトされたというくらいのルックスだ。
友達を見送った後、大子は自分の携帯の電源をつける。
実は、大子には最近できた、自分だけの密かな楽しみがあった。
「あの小説、更新されてるかな」
そう、大子は小説を読むのが好きなのだ。否、小説は最近読み始めたものであり、今まではほとんど触れてこなかった。
そんな大子が、とある作品を好きになったのは、運命だった。
――小説投稿サイト。
アニメ化された作品の原作が無料で読めるとのことで、先程の友人に紹介されたものだった。
そこで、たまたまある作品が目についた。
それは、決して人気を博したものでは無かった。
しかし、なぜか、その作品の題名を見た瞬間、運命を感じてしまった。
あらすじを読み、一通り内容を把握したところで、おもむろにページをめくる。
今まで、本に触れてこなかった大子。
「おれは、本なんて読めないと思ってたんだけどな」
そんな考えが、思わず口から出る。
結論から言うと、その小説は面白かった。登場人物が何人もでてくる、群像劇であったその小説。
その小説のとある男の子が、自分とダブり、感情移入していった。
「あ、更新されてる」
「おっしゃっ!」とガッツポーズをし、読み進めていくと、こんな文章が目についた。
『この物語は、今回の更新で終わりです。最終回でしたが、皆さん、ご精読、ありがとうございました』
読みきった。読みきった。その達成感だけがあふれていた。
執筆は物語を最後まで書き上げることが、一番大変だと聞いたことがある。
この作者も頑張ってきたのだろう。
この作者に自分も負けずに頑張ろうと思い始めてくる。
そんなこんな考え事をしてたらお目当ての自動販売機の目の前に着く。
そして大子は、「よしっ」と気合を入れると、
「チャリン、チャリーン」
と、自動販売機に小銭を入れるのだった。
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